ふーみんLABO(仮)

26歳女が「納得できる自己紹介」を目指して執筆中。エコ・節約・映画など、私の頭の中を可視化するため、とりあえず色々書いてみようという実験です。

村・留学で、高知県本山町のだいちハウスに10日間滞在してきた。やったこと、思ったこと全部書く。

数週間前の9月、「村・留学」というプログラムで高知に滞在してきました。
まとめも兼ねて、もともと持っていた疑問と見つけた答えを中心に、プログラムの内容や考えたことを書いてみます。

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天気の良い日はこんな景色が見れるところに滞在しました。

村・留学とは

京都に拠点を置く会社PaKTという団体が若者向けに開催しているプログラム。村・留学HPにある「「留学」は「海外」だけじゃない」というキャッチコピーの通り、日本の"村"に"留学"するわけです。

村・留学は、持続可能なカタチで現在まで残ってきた地域の在り方をART OF LIVING(暮らしの芸術)として、
その価値を見つめなおし、大学生を中心とする若者が体験と座学、仲間との共有を通じて学ぶデザインです。

村・留学

プログラムの内容や理念をまとめると、以下の4つになるかと。

限界集落に滞在
②共同生活
サステナブルな社会を考える
③冊子「村る」の作成

限界集落に8泊して、地域の方たちと交流したり、自給自足的な生活を体験しながら、持続可能な社会を考える、というもの。「サステナブル講義」という名目で、地域で暮らす人からサステナブルな社会のためにできることなどの話を聞くこともあります。

プログラムを運営しているのはPaKTですが、実際に現地で主催者としてプログラムを回しているのは、地域に住む人です。そして運営側と参加者をつなげるコーディネーターとして、学生インターンが1人プログラムについています。

現地に滞在する期間が終わった後も、地域の魅力を伝える冊子「村る」を作成します。これは私たちもこれからですが、冊子作成のためにも、写真を撮ったり地域の方にインタビューを行ったりします。

このプログラムは春(2,3月)と夏(8,9月)の年2回、各地で開催されていて、今年(2017)の夏は、岡山・吹屋、京都・久多、高知・本山の3カ所で開催されたようです。そのうちの本山のプログラムに参加しました。

 

主催者

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宴会で何かを饒舌に語っている大地くん。


矢野大地さん。1992年生まれ、現在25歳。京都出身で、高知大学に進学。学生団体を7つ立ち上げたり、休学して1年間宮城県気仙沼市で教育に関わるNPOで活動。就職活動はせず、ブロガー・イケダハヤト氏のアシスタントとして収入を得つつ、2015年秋から本山町の古民家に移住。2016年、NPO法人「ONEれいほく」(現ひとまき)を立ち上げ、本山町を含めた嶺北地域を拠点に活動中。

詳しくは、彼のブログの記事で→自由になったサルのプロフィール | 自由になったサル

 

滞在場所

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向かいの道から撮影。ブルーシートから右側が「だいちハウス」。


主催者の大地くんの家「だいちハウス」。 古民家を改修して住んでいます。ONEれいほくの拠点として「住み開き」をしており、全国から様々な人が訪れています。村・留学の参加者もここで共同生活を送ります。

 

参加者

今回参加したのは6人+コーディネーター1人。全員大学生で、関西の大学に通う5人と、関東の大学に通う2人、という感じです。学年は皆ばらばらでした。男女比は男2:女5。

 

滞在中のスケジュール

スケジュールは、主催者が事前に決めてあること(3日目くらいまでの予定やサステナブル講義)もあるけれど、参加者が主体的に「こんなことがしたい」「この人に話が聞きたい」と伝えたり動いたりすることが求められます。

基本的に毎日やっていること
  • 朝:かまどでの炊飯、朝食のおかず作り、掃除 (分担して回していました)
  • 夜:炊飯、おかず作り、お風呂沸かし
      その日したこと・感じたことなどについて振り返りミーティング 
サステナブル講義としてお話を聞いた方たち
  • ONEれいほくの勉強会に参加し、greenz.jpのファンディング(greenz people)担当の方のお話を聞きました。広告収入に頼らず、寄付を募り、寄付してくれる方たちのコミュニティ化を促進している取り組みについて。
  • 同世代の起業家で、今年4月にだいちハウスの下の古民家に引っ越してきた文太くん。ONEれいほくにも関わり、家を拠点の1つ「ぶんたハウス」として住み開き中。「サステナブルな仕事とは」というテーマで話をしてくれました。
    (彼のブログ「いつまでもアフタースクール」)
  • ONEれいほくの事業「碁石茶親衛隊」をきっかけに嶺北地域に移住したみつるさん。ベジタリアンになったきっかけなど、食からみるサステナブル社会をテーマにお話を聞かせてもらう。
    (普段は旅行企画「旅するローカルアジア」の運営などを行っている方)
その他やったこと
  • 集落を散歩、近隣の方に挨拶→ちょうどお会いできたご夫婦に話を聞く
  • だいちハウスの裏にそびえる「滝山」に登る
  • 長らくこんにゃくを作っている地域のおばあちゃんのところへ伺い、こんにゃく作り体験&お話を聞く

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    こんにゃくいもをミキサーですり潰し、灰汁を加えて練り上げ、丸めて茹でる。
  • だいちハウスで宴会(ぶんたハウスの滞在者や、高知大の学生団体の人たちなどと)
  • 嶺北地域でだけ育てられている茶色の牛「土佐あかうし」の、子牛を出荷している方&奥さんにそれぞれお話を聞く。畜舎の見学。

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  • 鶏小屋づくり

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  • 近隣の方の畑作業のお手伝い

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  • 参加者のうち数人で地域の方にインタビュー(複数回)
  • 地域の方に向けて報告会
  • 番外編:集落の敬老会に参加(プログラム終了後)

 

持っていた疑問と、見つけたこたえ。

疑問1 薪から火を起こして使う生活は"アリ"なのか

ある意味便利すぎる現代。いま便利だとされて皆が当たり前に使っているものは、本当に必要なのか、自分で考え体験した上で納得して使いたい。必要でないと思うなら他の納得できる手段を使いたい。という思いがずっとあります。

そういう思いで、シャンプーやボディーソープをやめて全て石鹸を使うようにしたり、新品の服より中古の服を買うようにしたりはしてきました。

でも、本当に炊飯器は便利なのか?必要なのか?薪で沸かしたお風呂が全然違うというのは本当なのか?ガスで沸かすお風呂とどちらが良いと思えるのか?という疑問から、薪から火を起こして使うことに興味はあっても、やれる環境がありませんでした。自分でやってみて考えたいことがたくさんありました。

あと、ピースボートで出会ったヒッピー・テンダー(経歴などはこちら)が話していてとても共感した、「ものは遠くに運ばない」という原則。薪は、家の近くの道端や裏山から取ってこれるもので、ガスや灯油を遠くから運んで来なくても、すぐ近くで調達できるエネルギー源といえます。こういう文脈でも、薪を使うということには興味深々で、今回ようやく実践できた!という達成感がありました。

 

結果:時間かかるし不安定だけど、その分一喜一憂があって楽しい。

プログラム中は、炊飯とお風呂を沸かすときに、薪を使いました。

炊飯については、炊飯担当を固定にするのではなく、日替わりにしていたこともあってか、完全にうまくいった!という日はそれほどなく、、焦がしたり、べちゃべちゃにしたり。かまどでの炊飯は、火加減や吹きこぼれ具合は毎日違うから、しばらくかまどの前で見ていなくちゃいけないのも、時間が取られます。

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かまどを数人で並んで見守っている時間もなんだか愛おしかった。

だけど、その手間をかけた分、ふたを開ける瞬間のドキドキはたまらないものがありました。毎日みんなで釜をのぞいて、失敗したときは「終盤火を入れちゃったのが良くなかったのかな」「水が多かったのかな」など、担当した人はめちゃくちゃ振り返りしてました。(笑) 

でも、そんな姿こそ私はなんだか人間らしくて愛おしいなあと思いました。そして、日々の生活の中でこれだけチャレンジができて、失敗も成功も積める手間の中にある「小さな成功体験」や、検討と実践(ある意味でのPDCAサイクル)を積むことで、自信が持てる。そんなことが、薪でご飯を炊くだけで得られるなんてすごい。

お風呂を沸かすことについては、炊飯ほどの"失敗"はないけれど、浴槽に満たした水が温まっていくまでに一喜一憂があって楽しかった。水がぬるま湯くらいになるまで意外と時間がかかるので、浴槽に手を入れて「全然だわ、、」と落胆するのを毎日やってました。(笑) そして、温まってきたときの「よしよし、、!」とふつふつ嬉しく思う感覚も、なかなか達成感が得られない日々の中で、わかりやすい達成感として得られました。 

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だいちハウスの薪置き場。

1週間ちょいだけだから楽しくできたのかもしれないけれど、私としては、薪から火を起こして使う生活はアリだなと思いました。次の機会には冬の薪ストーブも体験してみたいです。

 

疑問2 共同生活は"アリ"か

もともと、一人っ子だし家ではあまり会話もない。そしてピースボートでの4人相部屋の生活で、「自分の空間」がないことから、旅の終盤に精神的に完全にやられてしまってから帰国した私。久々に自分の部屋に入って心底ほっとしたのも記憶に新しくて、誰かと生活空間を共にするのはしばらく無理だ、、と半ばトラウマになっていました。

なので、短期間といえども、私はまた共同生活できるんだろうか?という不安がありました。しかも今回は、家事も当番で回さなきゃいけないし、コミュニケーションをたくさん取らないといけない環境。しんどくなるのかもしれないと思ってました。

 

結果:一人じゃできないことだらけだからこそ、共同生活が愛おしい

予想とは逆に、家事があったからこそ、コミュニケーションが取れて、より自分らしく・楽に生活できたように思います。かまどでの炊飯にお風呂、料理など、それぞれしっかり時間をかけなければならないので、一人でこなすことは無理。普段一人で考えすぎたり、頼みごとができない私ですが、一人じゃできないことだらけだからこそ、自分にできることはしっかりやり、できないことは頼む、という割り切った気持ちでいられました。

そういう心持ちでいると、コミュニケーションも無理せず自然にできるし、「みんなのおかげで生活できてるなあ」と感謝の思いもあって、共同生活が愛おしく思えました。

 

疑問3 本山町・嶺北地域に若者が集まってきているのはガチなのか&何故?

イケダハヤト氏や大地くんを始め、ここ数年で本山町や(本山町を含む)嶺北地域に移住者が増えていて、若い世代も多く移住している、という動きを、ネット上や雑誌で目にしてきました。空き家が増えているこの時代に、「いい空き家はもうない」という本山町。

www.ikedahayato.com

移住とまでいかずとも訪問する人も多く、実際、だいちハウスには年間1000人もの人がやってきているそう。そんなことってあるんだろうか?本当なんだろうか?という疑問を、自分の目で確かめたいと思っていました。そしてそれは何故なのか?どんな地域ならそれが可能になるのか?という疑問がありました。

そもそも、以前からここで起きていることが気になっていたところに、同じく以前から気になっていた村・留学が開催されることになり、ちょうどいい機会だと思い参加を決めた、という経緯もありました。

 

結果:本当だった。でもそれをポジティブに思う人ばかりではない。地域の味方との関係性が鍵。

だいちハウスに行って、すぐ下にあるぶんたハウスに滞在している人たちとも交流して、「どうやらネットで言われてることは本当らしい」と実感がわきました。私たち村・留学の参加者も、ぶんたハウスの人たちなども、皆インターネット(ブログ、SNS等)をきっかけに本山に来ていて、インターネットで情報をつかんで行動できる時代なのだなと改めて実感しました。

しかし代々住んでいる地域の方たちが、皆このような動きに完全にポジティブなわけではありません。「移住して頑張ると言っている人は、応援はするけど、ここでやっていけるか心配でもある」「こういう動きはずっと続いてほしいけど、だいたい一時的に終わってしまうものだ」という話を実際聞きました。

その一方で、地域に新しくやってきた人を積極的に構ってくれる方もいます。大地くんによると、そんな"味方"を1人でも作り、何か人を集めて会を開くときなど「こういうときに呼ぶ」と決めて関係性を作っていくことが大事だそう。でも、そんな方とも馴れ合いの関係にはならないよう気をつけることで、依存・期待されないようにしているそうです。

このように、「ファーストペンギン」として地域に飛び込み、地域の方たちと関係性を築きながら、地域を訪れる人たちともつなげていく存在があるからこそ、その地域を訪れる人や、移住する人が増えているのかなと思いました。

 

だいちハウスのいいところ・改善点6選

10日間滞在して、だいちハウスの良いところ、改善点、色々思いつきました。でもどれも表裏一体なので、分けずに6つ書いていきます。

人里離れすぎている

家から見える隣家は、2軒。スーパーや郵便局がある町の中心部までは車で15分ほど。都市部での生活に慣れていると、寂しいし、不便だと思ってしまうかも。
でも音を気にしなくていいので、宴会は夜中まで騒げるし、楽器もいつでも演奏できます。景色も良いです。

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だいちハウスとその周辺。山です。
トイレが離れで、いわゆるぽっとん。

強烈に鼻をつくにおいがするので、毎回覚悟が必要でした。笑 微生物の力で分解するコンポストにしたら、においも出なくなるらしいので、やってみたらいいんじゃないかな。肥料としても使えるしね。
でも、こういう合宿においては、お互いの音やにおいは気にならないので、離れのトイレも悪くないなと思いました。慣れる。

生ゴミも燃えるゴミ

ゴミの分別がほぼなく、生ゴミも燃えるゴミとしていました。これだけ周りに木や土があるのだから、生ゴミは自分のところで土に還したらいいのでは?虫わくのかな、、

家はきれいとは言い難い。

家の中は雑然としているところ多々あり。紙がはがれているふすま、台所、湿った布団、、でも古民家に住んでるだけすごい、ってわかっちゃいる。自分の家だってかなり雑然としてるし。変に期待しちゃいけません。訪ねる人はどんどん掃除しましょう。

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ちなみに台所はこんな感じです。
水は裏山から。

水は裏からパイプやタンクで引いたものを使っています。水道代なしで美味しい水にありつけます!でも初日の夜には止まったり、台風の日には濁ったりと不安定です。一長一短。

合宿するにはやや狭い。

私たちが使った部屋は、10畳ちょっとの部屋。ここで寝泊まりもミーティングもこなします。寝るときも男女混合だったので、女子のほうが多いといえども最初は結構困惑しました。笑 だいちハウスの母屋は、大まかには横並びの3部屋+台所で構成されていて、一人暮らしには広いけれど、7人が寝泊まりするにはやや狭い。

 

プログラムの良かったところ、改善点3つ 

プログラムとして良かったと思うところや、改善点を挙げておきます。

良かった点① 毎日振り返りのミーティングがあった

毎日ミーティングをすることで、各々が活動の中で感じたことを知れたのが面白かったです。皆の発言から、自分の考えや思ったことを思い返せたり。進行もすぐ参加者に委ねられるので、自分たちで場を作れるのは面白いなとも思いました。

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ミーティング中書いたホワイトボード。まだ序盤なので内容少なめ。
改善点① 主催者やコーディネーターが最初はもう少しファシリテーションすべきではないか

しかし、事前研修があるといえども全員が参加できているわけではなく、初めて来る場・初めて会う人たちという環境で、参加者にすぐミーティングの進行や予定・約束の取り付けを任せるのは無理があるのではないかと思いました。

参加者が自分たちで作っていくプログラム、というのをメリットとして挙げているようですが、参加者が主体的に動ける場にするためには、主催者やコーディネーターが最初はアイスブレイクなどを行って緊張をほぐしたり、話したいことを話せるような関係性づくりをしないと、参加者としてやる気があってもどうしていいか困惑してしまいます。

良かった点② いろんな形で地域にいる同世代に出逢えた

村・留学の参加者はもちろん、ぶんたハウスの滞在者や、集落出身・在住の大学生など、いろんな同世代の人たちと何人も出逢えて、話ができたのが良かったです。

今までこういったプログラムには何度か参加してきましたが、現地で同世代と交流できたことはなかなかありません。それは、①そもそも田舎に大学生くらいの年齢の人があまりいないから、そして②同世代がいてもプログラムの参加者と接点がないことが多いからです。

本山の場合、ONEれいほくが行っている様々な事業に参加しにくる人たちや、それぞれの拠点に滞在する人たち、移住した人たちなど、いろんな人がやってきていて、その多くが20代前後。皆ゆるくお互いの場を行き交っているので、上記のどちらもクリアしているのです。

 

 どんな人におすすめしたいか

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たき火も家の前ですぐできます!
  • 嶺北地域・本山町・だいちハウスに行ってみたいけど、きっかけがほしい人(私がそうでした。)
  • なぜ高知に移住者が集まっているのか知りたい人
  • 留学前・留学後・都市部育ちなど、日本の「知らない一面」を知りたい人
  • 消費ばかりの生活に違和感がある人
  • 自然に囲まれた暮らしを体験したい人
  • 将来田舎に住んでみたい人
  • たき火囲んで語りたい人
  • 自給自足生活に興味ある人
  • 都会に疲れた人

などなど、このプログラムは、いろんな人のきっかけとして良い機会になると思います!この記事が何かの参考になれば幸いです。