ふーみんLABO(仮)

26歳女が「納得できる自己紹介」を目指して執筆中。エコ・節約・映画など、私の頭の中を可視化するため、とりあえず色々書いてみようという実験です。

島根県・海士町の隠岐國学習センターに2週間行ってみた。

2018年2月、数回目の島根県へ行ってきました。隠岐諸島海士町(あまちょう)で2週間、県の真ん中に位置する邑南町(おおなんちょう)で1週間。私が何をしてきたのか、何を学んだのか、何回かにわたりますがここにまとめておきます。まずは海士町の話から。

 

「高校魅力化プロジェクト」発祥の地、海士町

海士町は、隠岐諸島の島前(どうぜん)地域にある3島のうち、中ノ島にある町。人口は2400人ほど。今ここが、新しい教育の最前線なのです。

島前唯一の高校・隠岐島前高校は、島に高校を作るよう働きかけ、さらに分校ではなく独立校になれるよう政府に働きかけるなどした結果生まれた、"地域の学校"でした。しかし地域の少子化の影響などで入学者が年々減り、統廃合される(島から高校がなくなる)危機にさらされました。 

高校がなくなれば、高校進学のためには皆が島外に出なければいけなくなります。そうすると、子どもたちはもちろん、子育て世代の親たちも島からいなくなってしまう。高校で島外に進学した子たちは故郷に愛着が湧かず、島には帰ってこない。人口がさらに減り、地域が維持できなくなる。

そのような状況の中で、高校と地域の存続をかけて始まったのが、子どもが行きたい、親が行かせたい、地域にとって必要な学校づくりを目指す「魅力化プロジェクト」。寮を活用して県外の生徒も受け入れ、今や島前高校の生徒の半分は島外から来た子たち。島前出身の生徒も増加し、入学者数は見事にV字回復しています。

詳しくはこちら▼

miryokuka.dozen.ed.jp

未来を変えた島の学校――隠岐島前発 ふるさと再興への挑戦

未来を変えた島の学校――隠岐島前発 ふるさと再興への挑戦

 

高校の存続=地域の存続」と捉えたことや、高校の魅力化を高校だけでなく寮や学習センター(公営塾)、町など地域全体で取り組んだことが大きな特徴。今では、このような「高校魅力化」は、人口減少が進む島根県全体へ、そして全国へ広がってきています。

 

「田舎×教育」の可能性を感じて、友達を頼って行ってみた。

そんな島前の取り組みについて、2015年頃から知っていて、おもしろい!と思っていた私。(2015年10月リリースのこの記事を読んだ記録があるので、この頃知ったと思われる▼)

blogos.com

少しさかのぼって2015年8〜9月には、島根県邑南町で1ヶ月地域づくり学生インターンに参加していました。そこで町内唯一の高校・矢上高校が「魅力化」に取り組んでいることを知り、「魅力化」に対するアンテナを張り出したのだと思います。

インターン以来、「田舎×教育」ということには可能性を感じていて、継続的に興味がありました。島根県津和野町の町立英語塾や岡山県の和気閑谷高校の魅力化プロジェクトなどを運営している会社・FoundingBaseのイベントで、島前高校の魅力化にも関わっていた藤岡慎二さんの話を聞いてわくわくしたり。(参考:藤岡さんのインタビュー記事 藤岡慎二 | sotokoto interview | ソトコト

でも、海士町も津和野町も、高校魅力化の一環として公営の塾をやっているわけですが、公営でやるなら高校でやれば良いのでは?なんで"公営"で"塾"をやるの?というところが引っかかっていて。

同時に、地方の教育に興味はありつつも、実際の現場はちゃんと見たことがなかったので、1度どこかで見てみたいと思っていました。

そんなときに、ピースボートで出逢った友人が、海士町隠岐國学習センター」で1年間インターンとして活動する、ということを知りました。「これは彼がいる間に行くしかない!」とビビッと来て、友人のインターンも残すところあと2ヶ月というタイミングで行くことにした、という次第です。

いろんな"田舎"は見てきたけれど、離島は初めて。不便さは感じるのか?自分は離島で暮らそうと思えるのか?離島だからできることって何?という疑問や、海士町はいろんなメディアで取り上げられているけれど、魅力化に関わる人たちや生徒たちは実際どんな感じなのか?自分も関わりたいと思うのか?ということを自分の感覚で確かめよう、という気持ちを持って向かいました。

 

隠岐國学習センターの仕組み。 

2月上旬から中旬の2週間、スタッフなどが住むシェアハウスの空室を間借りさせてもらい、授業の手伝い(テスト対策期間の質問対応、生徒と話すなど)をしながら、関わるスタッフやインターン、生徒たちの様子を見学させてもらいました。そして、高校や寮も見学させてもらったり、少し島前の観光もしてきました。

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隠岐國学習センター外観。

これが、隠岐國学習センター。数年前、古民家を改修して移転した新校舎で、高台にある高校へ続く坂道のふもとにあります。ここに、島前高校の生徒のうち130人ほどが通っています。

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館内入ってすぐ、自習も飲食もできる「土間」。

億単位の改修費をかけたらしいだけあって、おしゃれでこだわりを感じる建物になっています。上を見上げると、立派な梁が見えます。

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授業などで使われるのは、靴を脱いで上がった先の部屋。50人ほど入れる部屋を、仕切りで2分割して使えるようにしています。

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廊下部分。

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部屋の一部。

机や椅子は1つずつ自由に動かせるようになっています。「自立学習」を軸としているため、自分たちで勉強や作業がやりやすいように動かすことで、自分にとって良い環境を作ることも学べるようにしているとか。部屋が少ない分、いろんな用途で部屋を使えるようにする工夫でもあると思います。

また、受験勉強などが本格的になる3年生用の自習部屋などもあります。

授業の内容は、「自立学習」と「夢ゼミ」が2つの軸。学力が近しい生徒が集まる都市部の高校とは違って、田舎の学校は生徒の進路希望や学力に差があります。そのため、スタッフのサポートのもと各々が必要な勉強を自分で行います。学校や一般的な塾のような、教科ごとの授業はありません。「夢ゼミ」は、いわゆるキャリア教育で、1年生は島前のことを取り上げた冊子作り、2年生はいくつかのゼミに分かれての活動を行います。

1年生・2年生は週2回(自習・夢ゼミ)授業があり、3年生は適宜自習のため学習センターに通います。

私が行った2月は、1年生の冊子作りが入稿直前。2年生はゼミでの活動を終え、「じぶん夢ゼミ」と題してこれから自分が大切にしたいことを突き詰めていくワークを進めている時期でした。また、下旬の学年末試験に向けて、試験開始1週間前からは授業はなく、各々自習に来る期間となりました。3年生はほとんどの子が進路が決定している時期ということで、受験を控える数人が自習に通っていました。

 

次の記事から、具体的な内容や、感じたことを書いていきます。
mizukifukui.hatenablog.com