ふーみんLABO(仮)

26歳女が「納得できる自己紹介」を目指して執筆中。エコ・節約・映画など、私の頭の中を可視化するため、とりあえず色々書いてみようという実験です。

アートフェスティバル「黄金町バザール2019」で印象に残った作品たち。たまには「わからないもの」に頭と時間を使ってみる。

先日、横浜・黄金町で開催されていた「黄金町バザール2019」に行ってきた話を書きました。今回は、どんな作品があったかの紹介も兼ねて、印象に残った作品や感想を書いてみます。

この記事の続きです:「黄金町バザール2019」で、地域を再発見。「アート×町おこし」がちょっとわかった。

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ニワニワパラダイス:作品の進化と、砂利に咲く花にグッときた。

黄金町駅からすぐの、インフォメーションの前にあった空間の作品。普段は特に何もない高架下の場所を、憩いの場・交流の場にすべく、人口の滝などで“庭”を作ってありました。

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柱の影からの写真しかありませんが、雰囲気だけでも。

最終日にガイドツアーに参加して見に行った時は、石を積むワークショップをした後だったようで、滝の前に砂利や石でいろんな造形物が出来上がっていました。「こんな立ち方するんだ」という、絶妙なバランスで積み上がった石たちの空間。とても不思議な、ある種神々しいような力を感じて、圧倒されました。

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そして、サボテンも何ヶ所かに植えられて(?)いて、砂利の中で一輪の花が咲いているように見えました。植物が育つようには思えない空間、しかも砂利が敷き詰められた、殺伐とした不毛な空間の中で咲く花の姿に、なんだかグッときました。

というのも、大好きなコブクロの曲に「砂漠のような心に咲く花を愛と呼ぶ」(「STAY」)という歌詞があって、それをすごく体現しているように見えたから。

最初見に行った時には、砂利やサボテンはなかったので(自分で石積みができるようにはなっていましたが)、「作品の進化」も感じることができて印象に残った作品でした。

 

エレナ・ノックス:強烈な意味不明さ

海藻やエビ(オスとメスの一対)、プランクトンなどが入れられた「自己完結型水槽」の中でエビが繁殖しない(=生殖行動をしない)という課題を起点に、「どうしたらエビが繁殖するか」「エビをその気にさせるポルノとは」というワークショップの結果生まれた作品群。

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作品群の一つ。なかなか社会的です。

その発想には感心しつつも、各々の作品の「意味不明さ・理解の及ばなさ」が強烈でした

ガイドツアーで見て回った時にまだ私が理解ができたのは、ある映像作品。閉じた空間としてはある意味水槽と同じ「テラスハウス」では恋愛が起こりまくるということから、テラハの映像を、登場人物の顔の上にエビの写真を合成してみただけでそのまま流してるっていう。テラハと水槽の違いは何なのか、っていう問題提起ってことですかね。

逆に一番意味不明だったのは、裸婦を描いた画の顔部分を安倍首相の顔にしたり、際どい部分をエビの写真(?)で隠した絵。

これこそ、Twitter等で絵の写真だけが出回ったら炎上しそうwと思う一方、展示全体を見ても、少し書いてある説明を読んでも、「はあ?」という感じでした。私は嫌悪感とかは全然ないけどもw、ただただ「なぜ安倍首相と裸婦像を合わせた??」という疑問が残りました。

理解するヒントを求めていたら、公式サイトからアーティストインタビューを見つけたので貼っておきます。(理解の助けになるかは微妙だけど)

www.youtube.com

一部15歳以上のみ閲覧可な作品まであるような、性的表現も含まれた作品群。そのうちの1つで、ある事件があったのですが、また気が向いたら書きます…

 

シジ・クリシュナン:絶妙な懐かしさを感じた

普段はライスペーパーの上に作品を描いているそうですが、今回は初めての日本で作品を制作するということで、和紙の上に日本で見た光景などを描いたそうです。

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ぼんやりとした筆致や紙の色合いに、絶妙な懐かしさを感じました。頭の中の「記憶」の姿をそのまま描いているように感じられたから。どんなにはっきり覚えているつもりのことでも、実際にそれを細かく描写するのは、多くの人にとって難しいこと。でもそのぼんやりとした感じをそのまま表現しているようで、何だか惹かれました。

 

楊珪宋:陶製の草花の艶やかさに目を奪われた

特別プログラム「Koganecho in Wonderland」展の一つ。韓国・ソウルのギャラリーで開催した黄金町のアーティストの作品の展示ということでした。

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陶で植物を表現していて、艶やかで生き生きしている感じにとても惹かれました。リアルでありながら、本物の植物にはないツヤはとても綺麗で、漠然とある「自然は本物が一番美しい」という考えを揺さぶられた気がしました。

 

葉栗翠:“動物のいない動物園”という着眼点やアイデアに共感

会場の近くにある「野毛山動物園」など国内の動物園を取材し描かれた作品群。

動物園での、動物と人間の「見る・見られる」という関係や、アーティストインレジデンスにおけるアーティストと通行人などの「見る・見られる」という関係・二項対立に揺さぶりをかけるという意味合いがあるそう。“見る”ということで何を期待しているのか、それが得られなかったらどう思うのか。

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絵の背景の網のようなものも、「檻」の表現だそう。

普段から私は「動物園って不自然で人工的だよな」と思っていたので、作者の着眼点には共感したと同時に、動物園への違和感がより具体的になった気がしました。

また、今回の黄金町バザールのテーマを一番わかりやすく表現してくれている作品だと思いました。

こちらもインタビュー動画があったのでご紹介。
www.youtube.com

 

テーマ「ニューメナジェリー」って何やねん!

ついでに、テーマ「ニューメナジェリー」についても触れておきます。メナジェリーとは、公式サイトによるとこう説明されています。

*「menagerie(メナジェリー)」とは、近世ヨーロッパ(16-18世紀)の王侯貴族たちが、アメリカ大陸やインド洋航海ルートの「発見」により、それまで見たこともなかった動物や植物を一堂に集めたといわれる動物飼育舎です。現在の動物園(zoological garden)のルーツと言われています。

そして「ニューメナジェリー」という言葉で、「新しいマネジメント」(のあり方の模索)を意味しているそう…詳しくはサイトを見ていただきたいです。私は正直理解ができてないので書けません。笑

www.koganecho.net

「はまれぽ」の記事の終盤にあった、「黄金町バザール」ディレクターの方へのインタビューでも、こんなやりとりが書かれています。

――最後に、内容的な変化はどうですか?
「実はここ数年、内容は若いキュレーターたちに任せているんです。そうすると、どうしても彼らは、クオリティーの高い『展覧会』にしたがる。私なら作品の質よりも催しとしての親密性にこだわるのですが。彼らからすれば評価を得るいい機会ですから、気持ちはわかりますが」

――確かに今年の「メナジェリー」という言葉などは、一般の人には少々難しいかと・・・
「来年は横トリの年でまた人も多く来るでしょうから、これを機にあらためて軌道修正をしようかとも思っています」

「ちょんの間」の過去からアートで再生を目指す「黄金町バザール」をレポート! - [はまれぽ.com] 横浜 川崎 湘南 神奈川県の地域情報サイト

 

アーティストや関わる人たち、そして見に来た人がテーマについてどう思っているかはわかりませんが、私は、見に行く前も後も変わらず「とっつきにくさ」は感じました。そして作品の理解の及ばなさや説明の少なさから、「内輪感」「詳しくない人や部外者はお断り」な印象も受けました。

 

「わからない」ことに向き合う、頭の体操。

一方で、簡単に説明がつくようなことだけアートにする・展示するのも違うと思う。言葉で説明できないからこそ、こうして他の表現手段を用いているのだとも思います。

だから、「説明できることは説明しておく(それを読むかは自由)」ということや、「感想や意見を話し合える場」がもう少しあったらいいかなと思いました。

「わからない」と思いつつも理解しようとしてみること、「意味わからないこと」に遭遇し時間を割くということが、こういった芸術祭などでこそできる体験だと、「あいちトリエンナーレ」に続いて思いました。「こんなことを思いつく人がいるんだなあ」と思うし、「わからなさを楽しむ」というのも嫌いじゃない。頭の体操って感じです。

 

何にせよ、これからも応援したいし、来年以降も機会があったらチェックしたいと思えるイベントでした。

 

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