1年経って振り返る、映画「ボヘミアン・ラプソディ」にハマった訳。
1年前、社会現象レベルで大ヒットした映画「ボヘミアン・ラプソディ」。私はちょうど去年の今頃映画館に見に行ってハマり、音響の良いシアターなどを求めて計3回映画館で見るという、社会現象の一部になっておりました。
なぜそこまでハマったのか、1年経った今振り返ってみたいと思います。
Queenの曲を再発見!知ってる曲ばかり&超好み。
私は映画を見るまでは、Queenというバンドの存在と、「We Will Rock You」を知っているくらい。別に好きというわけでもなく、「ああ、有名だよね」ってくらいでした。
しかし去年前半にハマった「グレイテスト・ショーマン」に続く歌物だったことや、Twitter等で見た口コミなどで興味を持って見に行き、びっくり。映画で出てくるQueenの曲の多くは、聞き覚えのある曲でした。列挙してみると、
- Seven Seas of Rhye
- Killer Queen
- Bohemian Rhapsody(映画のタイトルが曲名だとも知らず…)
- Under Pressure(feat. David Bowie)
- We Are the Champions
- The Show Must Go On
- Don’t Stop Me Now
などなど。テレビ番組などで聞いたことがあったんですね。「え?聞いたことある!」「これもQueenだったんだ」という驚きが最初から最後まであって飽きなかったし、「こんなに有名な曲を量産していたなんて凄すぎる」と心底思いました。
また、後で調べてみると、映画に使われていない曲でも、知っている曲がありました。
など。
そしてYouTubeなどで調べていくうち、Queenが作る音楽の幅広さや音作りがとても好みでどっぷりハマってしまい、ファンになってしまいました。でもフレディは私が生まれる前に亡くなっているという…悲しすぎる。鑑賞2回目以降は、最後のエンドロールで「フレディは1991年に亡くなり…」みたいな紹介があるところで胸が詰まりました。
また、2回目以降は、映画が見たいというよりも「Queenの曲を映画館で爆音で聴きたい」みたいな欲求もありました。
見た後に事実や曲を調べたりするのが楽しかった
私は外国の映画や社会派な映画が好きなのもあって、普段から映画を見た後は作品の背景(舞台となった時代や国)を調べます。この映画でもそれは例外ではなかったのですが、その楽しさが他の作品の何倍もありました。
実際にいた人物たち(しかも今も活動中の人までいる)のストーリーをベースにしているので、「映画と実話の違い」や「映画で使われた曲」を調べるのがとても楽しかったです。
そして、YouTubeで1曲調べると芋づる式にいろんなQueenの曲と出会えたり、曲をカバーしている合唱やオーケストラ演奏を聴くのも楽しめました。例えば…
- 高校生の合唱の「Bohemian Rhapsody」
- 同じく高校生の合唱の「Somebody to Love」
- メキシコの市民オーケストラの「Bohemian Rhapsody」
どれも曲の魅力を引き出していて素晴らしいし、こういうアレンジがぴったりくるQueenの曲の壮大さを感じます。
映画を見るまでQueenのことをちゃんと知らなかったのもありますが、にわか目線では再現性がとても高く、メンバーの外見はもちろん、ライブイベント「LIVE AID」の再現などはすごくて(演技等はもちろん、観客などの合成も)、映画に入り込めました。
また、日本との深い関わりや、当時の報道を調べてみたりもしました。映画を見た後も楽しめて、それを知った上でまた映画館に行くというのも、初見とは違う楽しみがありました。
音楽がほぼ本人のものなので、のりやすかった
音楽も本格的で、監修としてQueenメンバーも参加しています。
フレディの歌声は「フレディ本人+主演ラミ+フレディと声が激似の歌手マーク」でできているそう。「(ラミの)この体からこの声は出ないだろう」とちょっと引いてみてしまうこともあった一方、「ほぼフレディ本人の声」という感じなので、曲や声の魅力が十分に伝わり、のりやすかったです。違和感より音楽の良さが上回りました。
フレディの声って本当に独特で素晴らしくて。音程がとても正確でまっすぐ伸びる感じでもあるし、柔軟で、ちょっとざらついたハスキーっぽさもある。その魅力が映画でも伝わってきたからこそ、ここまでQueenにもハマったのかなと思います。
フレディの孤独感に心底共感
主人公フレディ・マーキュリーは、出自やセクシャリティに複雑さを抱えていました。まず出自をたどってみると、こんな感じ。
- 一家はインド出身のパルシーという民族(先祖がペルシャから逃れてきた)。ゾロアスター教。
- フレディは1946年、アフリカの東海岸のザンジバル(当時イギリス領、現タンザニアの一部)生まれ
- インドで教育を受ける
- その後ザンジバルに戻ってくるが、独立運動・革命が起きる。現地で支配階級だった一家は身が危ぶまれる立場になってしまい、イギリスに逃れる。当時フレディ17歳。
参考にしたのはこちらの記事↓www.telegraph.co.uk
ここまででも、広範囲を支配した大英帝国の歴史を体現しているかのような、濃密な半生。こんな背景もあって、音楽ジャンルに縛られない多彩な曲を作れたり、独特なパフォーマンスを築き上げていくことができたようです。
しかし一方で、自分の確固たる「居場所」がなかった。だからこそ、音楽が居場所だったという彼のあり方に、共感しました。
また、映画の中でフレディはゲイとされているかと思いますが、実際はバイセクシャルだったようです。何にせよ、自分のことがわからなくなる・人にも理解されない苦しさを抱えている様子が描かれます。また、孤独感を紛らわそうと豪勢なパーティーをしつつも、虚無感に襲われたりします。その葛藤にも、とても共感しました。
映画で使われる、フレディが書いた曲の歌詞にも、寂しさや絶望感が表れていました。
I don't wanna die, I sometimes wish I'd never been born at all
(死にたくない、生まれてこなければ良かったとさえ思う)
↑映画の中で、ここのフレーズを歌いながら思いついたフレディが、自分でハッとする場面が印象的でした。
・Each morning I get up I die a little, can barely stand on my feet
(毎朝起きる度に死んでいくみたいだ、何とか自分の足で立っているけど)・I got no common sence, I got nobody to believe in
(常識はない、だけど信じられる人もいない)Somebody to Loveより
↑映画のオープニングに使われる曲がこういう歌詞とは、すごく示唆的です。
音楽そのものも、パフォーマンスや衣装も奇抜で、圧倒的カリスマ性を持ったフレディ。そんな雲の上の存在ながらも、抱えていた寂しさや孤独感には親近感すら湧きました。だからこそ、孤独や不信感を乗り越えて大舞台に皆で向かっていく姿に感動しました。
こうして振り返ってみても、「この映画とQueenの音楽に出会えてよかったなあ」と、1年経っても思います。
「そういえば1年経ったなぁ」と思って久々にQueenを聞いたり、映画の関連動画を見たりしていたら、また見直したくなってきました。見たことのない方も、見て損はないと思うので、ぜひ。
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