風景画に心洗われるも、わからなさも残った。「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展@横浜美術館。
「あいちトリエンナーレ」に行ったのをきっかけに、色々とアート関係のことにも興味を持ち始めたこの数ヶ月。「地元にある美術館にも行ってみたいなあ」と思っていました。
すると横浜美術館で、ルノワールなど印象派の絵などが企画展として来ていると知り、「なんか珍しいのが来ているみたいだから、せっかくだし行ってみよう」ということで行って来ました。
企画展「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」とは
今回、パリにあるオランジュリー美術館が改修工事をすることもあって実現したという企画展。
ナポレオンの時代にオレンジ(=フランス語でオランジュリー)を育てるための温室だったところを、印象派の画家として有名なクロード・モネが美術館にしたいと購入し、彼の没後に実現した「オランジュリー美術館」。
そこにある、有名な画商ポール・ギヨームが築いた印象派やエコール・ド・パリのコレクションの一部(19世紀後半〜20世紀初頭に描かれた絵たち。日本は明治時代)が、今回来日し展示されています。企画展のタイトルにはルノワールの名がついていますが、ルノワールの作品ばかりでなく、どの作家も何点かずつ楽しむことができます。
横浜美術館で、1/13まで開催されています。
ちなみに、当時の美術界を小説でよく描く作家・原田マハの作品を読んでいると、今回来ている画家たちや時代の背景も少し詳しくなれるかも。紹介しておきます。
- モネなどが登場する「美しき愚かものたちのタブロー」
- アンリ・ルソーの絵の真贋がテーマの「楽園のカンヴァス」
印象に残ったこと
では、印象的だった作品や、思ったことを書いてみます。
※作品の話になるので、パンフレットの写真を参考に貼っておきます。
クロード・モネとアルフレッド・シスレーの風景画
展示は画家ごとに並んでいるのですが、最初にあるモネとシスレーの風景画が素敵でした。私としては、シスレーのものがお気に入りです。
アトリエにこもっていないで、外に出よう、絵に光を取り入れよう、とした「印象派」。その象徴とも言えるような絵でした。絵の中で広がる空や風景は、温度感や空気を感じさせるものでした。都市部で暮らしていると、こういう無心になれる景色はなかなかないけれど、絵でも無心に近い感覚になり、なんだか懐かしいような気持ちにもなりました。
美術の教科書の表紙だった、ルノワールのあの作品
今回の企画展のポスターなどで大きく扱われている、ルノワールの「ピアノを弾く少女たち」。これ、中学の時の美術の教科書の表紙だったので、「おお、これが来てるんだ!」と思って惹かれました。
展示を見る前に、ちょうどあった学芸員の方のミニレクチャーなるものを聞いて知ったのですが、この作品は他にもいくつかバージョン違いのものがあるとのこと。当時画家としては栄誉であった、フランス国立の「リュクサンブール美術館」に飾る絵を頼まれてルノワールが制作した作品で、今他の作品はオルセー美術館とメトロポリタン美術館にあるそうです。全然知らなかった。
レクチャーで絵の写真を見比べてみると、描いている主題や構図はほぼ同じだけれど、背景の細かさや全体的な明るさなどに違いがありました。オランジュリー美術館のものが、一番明るくて、背景はほぼなく、少女たちに集中できる感じでした。
でも実物を見てみると、そこの照明の具合でもあるでしょうが、「思ったより明るくない」「意外と暗い」とも思いました。
風景画以外の良さはいまいちわからず…
上記の、風景画は「うわあ、素敵」と心底思ったのですが、他の作品は「?」という感じでした…まだ、フランス現地で見れば違った見方ができたかもしれないけど…。
旧態依然とした絵画界に新風が吹いた、という歴史上の流れは理解できるし、当時にしては新しくて驚きだったろうな〜とは思います。しかし、人の顔をあえて形を崩したりして描いているのは、綺麗ではないし、だからと言って「何を表現しているのか」「なぜこう描いたのか」とかまで思いを巡らすようなものでもない感じがして。「変わったアプローチをしたい」というだけで。
個人的に、横浜美術館コレクション展の方が面白かった
横浜美術館のコレクション展も同時に開催されていて、企画展を見た後そのまま見られるような順路が組まれています。
企画展の絵画が描かれた時代は、日本でも欧米の文化が入ってきていた時代。そんな時代以降のコレクションが、「東西交流160年の諸相」というテーマのもと、10部に分かれて沢山展示されていました。
企画展と連動したコレクション展というのも面白いなと思ったし、テーマも私がとても好きなもので、見応えがありました。個人的に、企画展よりも楽しかったくらい。
この展示についてはまた書きます。
混み具合
学芸員の方のミニレクチャー後に見始めたからか、平日の15:30すぎでしたが「意外と混んでる」という印象でした。でも企画展を見終わった16時過ぎには少し落ち着いていたと思います。
20時まで開館している金曜日でしたが、コレクション展も存分に見終わった18時前くらいにはほとんどガラガラになっていました。
これから冬休みや年末年始で混むかもしれませんが、参考までに。
展示の仕方にもうちょっと余裕あった方が映えそうと思ったり、現地で見たら印象違いそうとは思いつつも、それなりに勉強にはなりました。特に、原田マハ作品で読んでいた画家の作品は「これがあの人なのね」と思ったり。横浜美術館には、また行きたいと思いました。
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