一番行きたい国・イランへの憧れをぶちまけてみる。
アメリカとイランの関係がこれまでにない緊張っぷりで、なかなかきな臭い状況です。私にとってイランは「憧れの場所」で「一番行きたい国」であり続けているので、今の状況を心底心配しています。
両国に「思いとどまれ〜!」と言いに行って、それを聞き入れてほしいくらいですが、私個人ではそんなことが起きるはずもないので、何もできないもどかしさがあります。
なのでせめて、これまでイランについて触れてきたものを整理しながら、イランについてのイメージや想いを書き記しておきたいと思います。
文化のレベルが高い:「ペルシャ文化圏」の、精緻で色鮮やかな美術センスの中心地。
世界史資料集や雑誌の写真
日本の人が一般的にイランについてどんなイメージを持つのかというのは、もうよくわからないのですが、私は「美術センスが素晴らしい国」というイメージを一番強く持っています。それにつながったのは、まずは高校の世界史。
「イスファハーン、世界の半分」という有名な文言も強烈に印象に残っているし、資料集で見たイスファハーンの広場やモスクのデザインの素晴らしさもよく覚えています。日本にはなかなかなさそうな、見事な「青」がとても映えていて、授業の合間などによく眺めたものでした。
また、雑誌だと、例えば「Bird」という雑誌でシルクロードの特集があり、イランのモスクなども大きく紹介されていました。写真を見るだけでも、その鮮やかな色合いや精緻な模様に見惚れてしまいます。
BIRD7号 きらめきのシルクロードへ (講談社 Mook(J))
- 作者:
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/09/19
- メディア: ムック
隣国・ウズベキスタンも似た建築があるし、国名が「〜〜スタン」となっている中央アジアはいわば「ペルシャ文化圏」だと思っています。そしてその中心地がイランではないかと。
イランには、旧王宮やモスクなど、美術的にも歴史的にもとても価値ある素晴らしい建築がたくさんあるはずです。そういうものが、直接狙われることはなかったとしても、戦争などで壊れてしまったらと思うと心配でなりません。
UAEにて
海峡を挟んで対岸にあるUAEでも、何回かイランのものに触れることがありました。
一つは、まとめサイトなどで「世界一美しいスタバ」とも言われている、ドバイのショッピングモールのスターバックス。
アラブの旅行家イブン・バットゥータの名前を冠したモールで、彼が旅した地域を模したエリアが6つあります。その内の「ペルシャ」の場所にあるのがこれなのです。商業施設とは思えない本格さ・美しさでした。
また、“ほぼ常設の万博”みたいなテーマパーク、「グローバルビレッジ」でもイランのものに触れました。世界各国のパビリオンがあり、その国の物産や食べ物を売っている場所です。そのイランのパビリオンで、アイスを食べたり、売っている絵を見たりしたことがあります。絵を見て、「これはすごいな…」と思ったのを覚えています。
そして、お店でイラン料理を食べたり。イラン本国では「外食のレベルがそれほど高くなくて、家庭料理の方が全然美味しい」と、イランへ留学したことがある方から聞いたことがありますが、UAEで食べた分には十二分に美味しかったです。
最初にイランの文化を知った高校の頃は、中東地域に行けるとすら思っていませんでしたが、大学に入ってからは何度か学生団体の活動やそのツテで旅行に行きました。そうしたら、上記のUAEでの経験も含め間接的にイランについて知ることも増え、「いつかはイランも行きたい」と自然に思うようになりました。こんな美しい建築がある国に、行きたくないわけがない。一度でも直接見てみたい。体感してみたい。
映画
これまで、イランの映画もいくつか見てきました。例えば、2017年にアカデミー賞外国語映画賞を獲った「セールスマン」。
第89回アカデミー賞外国語映画賞/映画『セールスマン』予告編
イラン大使館に併設されている「イラン文化センター」では、毎年イラン映画のイベントが開かれていて、無料で3本ほどの映画上映があります。私は1度だけ行ったことがあります。
人が優しいらしい。
私がイランに持っているイメージの2つ目としては、漠然としていますが、「人が優しいらしい」というものがあります。
これまで、私が憧れるイランへの旅行を実現させた人たちのブログも色々読んできましたが、「現地の人がとても親切にしてくれた」という記述もよくみました。
もちろん、どの国にも良い人も悪い人もいるのはわかっていますが、「旅行先で何か交流できたらいいな」と、より興味がわく一因にもなっていました。
それでも、イラン旅行はハードル高いと思ってきた理由
これだけイランについて良いイメージを持ち、長らく「行ってみたい」と思いながら実現していなかった理由は、いくつかあります。言い訳がましいかもしれませんが。
女性であること、一人で行きづらいこと
一つは、女性は外国人観光客であろうと髪を隠したり、服装に気をつけなくてはいけないこと。
イスラーム圏で女性が頭髪を隠すスカーフ=「ヒジャーブ」は、個人差もあれば、地域や国によっても、やり方・している人としていない人の割合はかなり違います。
現在イスラームを政治的にも中核に据えているイランの場合、ヒジャーブは義務です。しかし国民が皆それに納得はしていないと見えて、イラン人女性、特に若い女性だと、スカーフをゆったりかけるスタイルが一般的で、前の方は全然隠れてない、みたいなこともあります。なのでそこまで気にしなくて良いのだろうとは思っていますが、懸念材料ではありました。
そして、私がよくする「ひとり旅」だとなおさら、「女性ひとり旅って大丈夫なのか」というのはありました。これまでは、海外に一人で行っても現地で友達(or友達の友達)にお世話になるから基本一人にはならない、という感じだったので、現地の友人もいないし(探せば友達の友達はいそうだけど)、後述しますが未知な部分も多いイランへの旅は二の足を踏んでいました。
アメリカ入国が面倒になる(まあいいんだけど)
普通は、アメリカに行く時の事前申請(ESTA)はネットで簡単にできるようになっています。しかし、特定の国に行ったことがある人はそれが使えないことになっていて、イランもその国に含まれています。
正直、イランに行きたい気持ちとアメリカに行きたい気持ちを比べたら前者の方が全然大きい。そして、別にアメリカに入国できなくなる訳ではなく、「申請がちょっと面倒になるだけ」だから良い。だけど一方で、「なんだかな〜」と躊躇ってしまう気持ちもありました。
情報が少ない
本来は、歴史もあり、観光資源にもあふれているはずのイラン。だけど、海外旅行に行くならまず参照したい「地球の歩き方」のイラン版は、びっくりするくらい薄いのです。多分一番薄い。
単独の国で1冊分扱われているだけ良いのかもしれませんが、情報も結構調べないといけなさそうなのでハードル高く感じていました。クレジットカードが使えない、事前にネットで宿泊予約など取れるのか?両替は?など、“当たり前のことができなさそう”な点もネックに感じました。
こんな感じで、イランは「行きたいけど行けてない国」であり続けています。恋い焦がれ続けて早幾年。
イランは、政治・外交の状況がちゃんとしていれば、きっと観光でももっと人気で、文化的にも経済的にも力を発揮しているはずの国だと思っています。ポテンシャルはあるのにもったいない。(まあ、シリアやイラクもそうなのですが…イランも続いてしまうのでしょうか。アメリカが本当にネックすぎる。)
アメリカ・イランの関係が一旦落ち着いた上で、気軽に旅行先として選べるようになる日が来るのを願っています。