ふーみんLABO(仮)

26歳女が「納得できる自己紹介」を目指して執筆中。エコ・節約・映画など、私の頭の中を可視化するため、とりあえず色々書いてみようという実験です。

映画「国家が破産する日」感想。少し入り込めない感覚もあったけど、見て良かった。

昨日に続いて、映画「国家が破産する日」について。今回は感想を何点か書いてみます。(オチ等に関するネタバレはないです。)

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kokka-hasan.com

 

「今時現金払いなんて古い」にドキッとした

取引先の百貨店に「今時現金払いなんて古い」と言われ、手形での支払いという契約条件を渋々受け入れてしまった、町工場のガプス。そのせいで、のちに大変な状況に置かれていく彼を見ていると、今の私も身につまされるような思いでした。

最近は政策や各社のキャンペーンも色々あり、キャッシュレス決済がそれなりに普及しつつある昨今。私も約1年前から、できるだけ現金以外で支払いをするようにしています。

完全にお金が動くタイミングは決済のシステムに寄りますが、クレジットカードなどを介する「後払い」のサービスを使う場合は、信用に基づいて短期的にお金を借りている状態なわけです。

97年の韓国での「手形」と、今のクレカ等では、基づく信用や審査基準などが大きく違うでしょう。それでも、スマホ決済などは、インターネットのシステムや支払い能力の信用の上に成り立っている」ということを肝に命じておかないとな、と改めて思いました。

 

事実はモチーフ程度なことに、ちょっとがっかり。

通貨危機IMFの融資などは事実ですが、あとは「IMFと韓国政府の交渉当時、非公開で運営された対策チームがあった」(HPより)という事実を脚本の軸に据えているくらいで、他は作り上げられたストーリーなようです。

主人公の一人、韓国銀行の通貨政策チーム長であるハン・シヒョン。彼女をスクリーンで見ていて、「当時女性でそんな立場にいた人が居たんだろうか」と思いながら見ていましたが、彼女の人物像は「“こんな人がいたらどれほど良かっただろうか”という気持ちで造った人物」(HP・脚本家インタビュー)とのこと。時代を鑑みれば、女性であること、そして彼女の年代も元から“不自然”ではあったものの、ちょっとがっかりしてしまいました。また、その“不自然さ”と“事実”のミスマッチを感じて、物語に入り込めない感覚にもなりました。

 

女性差別を描いていたことが印象的

一方、シヒョンの存在を通じて、財務局次官の女性差別的言動が映画の中に表れていることは印象的でした。

「秘書かと思った」「女は感情的になるから向いてない」などと言われながらも、チームを率いて奮闘するシヒョン。そんな逆風の中でも頑張る“ヒロイン”が欲しかったのか、コンプラ的に女性を入れないのはまずかったのかわかりませんが、謎も残りつつ印象には残りました。

 

さすが韓国。「勧善懲悪」ものになってる

比較的最近あった、政治・経済における一大事。わかりやすくしすぎると軽くなってしまいそうだし、だからと言って事実を取り入れすぎるともやもやしたりして、面白く見れない。

その間を取るようなちょうど良い具合に作品を仕上げているのは、韓国映画定番の「勧善懲悪」の型だなと思いました。

問題の先送りや隠蔽をした政府や、これまで東南アジア諸国構造改革を断行させたIMF、そしてそのIMFのバックにいたアメリカを“敵”のように扱う。一方、国民のためを想い奮起するシヒョンたちは“正義の味方”のように描かれていました。

財務局次官の憎たらしさ、悪役っぷりはすごかった…。ただ、特に国際機関であるIMFに関してはちょっとやりすぎでは?と思えて、入り込めない感じもしましたが。(でも本当に、あんなに強権的だったのかも…?)

また、勧善懲悪というより「対比」ですが、

  • 政府やマスコミをそれなりに信頼して、危機に巻き込まれてしまうガプス
  • 政府の言うことは全く信じず、庶民の訴えや自分の予測を信じて世の中の動きとは真逆を行ったジョンハク

この二者の描写も、明確でした。(社会のエリート層だけでなく、この二人のように“なんでもない人々”が登場することで身近にも感じたし、好感でした。)

こういったある程度の「わかりやすさ」を演出することで、難しい社会的テーマでも大衆に受け入れられるような作品になっているのは、「さすが韓国」と思いました。

▼参考:これまでもいくつか社会派韓国映画を見てきました。
mizukifukui.hatenablog.com

 

感想を一言でまとめると、「ちょっと入り込めない感じもしたけど、勉強になったし、見て良かった」と思います。

映画の最後は特に、「自分で考える」「疑い続ける」というメッセージをはっきりと打ち出していて、それも独特で印象的でした。そのメッセージがどういうことなのか、自分だったらこの危機の中どうするか、など考えを巡らせながら見たりしても面白いかもしれません。

 

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