「永遠のソール・ライター」展に行ってみた。誰でも写真が撮れる今見る、“カラー写真×芸術”の先駆け。
渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の写真展「永遠のソール・ライター」に行ってきました。アメリカの写真家、ソール・ライター(1923〜2013)の回顧展が、2017年ぶり2回目に開かれています。
優待券があったので、あまり興味はないものの用事のついでに行ってみたのですが、ざっと感想を書いてみます。
概要
1950年代からファッションカメラマンとして活動したソール・ライター。80年代には商業写真の世界から身を引いていましたが、2006年に写真集を発売したのを機に再び脚光を浴びました。
そんな彼の、モノクロの写真、当時は珍しかったであろう50年代以降のカラー写真、そしてずっと嗜んでいた絵画などの展示がありました。
商業的に撮られることが多かった写真の世界で、芸術的な観点で写真を撮り続けていたようです。
感想
ガラスや水面の反射を捉える写真は気に入った。
主な写真撮影の舞台はニューヨーク。街の店などのショーウィンドウに映る人影とウィンドウの中の商品が見事に捉えられた写真や、雨で濡れた道路に反射する街のネオンなどの写真は、私もそういう写真を撮ることがあるので着眼点に共感しつつ、とても素敵な作品でした。
ニューヨークの変わってなさ
日本ではまだ「戦後」という雰囲気も強かったであろう50年代前半などの写真に映るニューヨークの様子は、普通に都会で、今ともさほど変わっていないんじゃないかとさえ思えるくらい。特にカラー写真では、その「変わってなさ」は強く感じた気がします。
誰でもいくらでも写真が撮れる時代から見る、当時の写真
フィルムも不要で、スマホがあればカメラさえ不要で、誰でも何枚でも写真を撮れる今。今回主に見た1950年代当時の写真の貴重さを考えれば、「隔世の感」があるなあと思いました。
「写真=モノクロ」という時代も、あまりにも想像が及ばなくて。今はあえてモノクロを選ぶことはあっても、モノクロ写真は少数派です。しかも今は動画も手軽に撮れる。いやはや、隔世の感。
綺麗だったり面白い着眼点の写真を見るのはそれなりに楽しかったけれど、正直私はこの写真展にお金を払って行こうとは思わないし、「わざわざ見に来ている人はどういう関心のある人なんだろう」と、終始不思議というか疑問ではありました。
でも、“カラー写真×芸術”の先駆けだった人なんだろうというのは理解できたので、今に通じる写真の概念を半世紀前にすでに作り上げていた写真家がいるということがすごい…のかな?と思います。
例えるなら、銀閣寺の書院造りの部屋があまりにも“普通”に見えるけど、これが作られたのが数世紀前で、今に通じる“和室”がすでにあったことを考えるとすごい、みたいなやつ。
私にとっては「へぇ〜」という感じではありましたが、自分の趣向を知るためにも、普段自分からは触れないものに触れに行く時間もあっても良いなとは思った次第です。
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