ふーみんLABO(仮)

26歳女が「納得できる自己紹介」を目指して執筆中。エコ・節約・映画など、私の頭の中を可視化するため、とりあえず色々書いてみようという実験です。

脳に、社会に太らされる現代の食生活の仕組みと対策がわかる本。「果糖中毒」から学んだこと。

先日、あるブログでの紹介を読んで興味を持った本、「果糖中毒」。データや論文、ホルモンの仕組みなどに基づいた詳しい説明と、読みやすい文体や例えのおかげで、大いに学びがありました。

果糖中毒 19億人が太り過ぎの世界はどのように生まれたのか?

果糖中毒 19億人が太り過ぎの世界はどのように生まれたのか?

 

内容はなかなか膨大だしまとめるのは難しいので、要約するつもりはありませんが、私が学んだことという視点でいくつか書いてみます。

 

太ってなくても、他人事ではない。

正直、私は今のところ体型に不満はありません。体重も正常だと思います(そもそも変動があまりないのと、2kgくらいは誤差だと思って気にしてない)。肥満やメタボ症候群は、将来はありうるとしても、人ごとでした。

しかし本書を読んで、いろんな意味で「他人事ではない」と思うようになりました。その点をいくつか挙げてみると、

  • 内臓脂肪はBMI値に現れないので、BMI値が正常でも、異常がある可能性は十分ある
    →自分だってわからない
  • 社会環境や、脂肪細胞の数など、自分ではどうしようもない部分が多い
    →自分は太らない環境にあるというだけ
  • 現代の食習慣によって引き起こされる不健康さで、増大する医療費など、社会がツケを払わされている

という点。

 

体は生きたがっている。体の生存戦略と、現代の社会・環境が合ってないだけ。

肥満やメタボ症候群、生活習慣病などなど、いま多くの人の体に起きていることは「体が生きたがっている証拠」なんだな、と思いました。ただ、それが現代の生活と適合せず、逆に不健康や死をもたらす結果になってしまっているのです。

それを一番実感したのは、一見肥満の「原因」と思われる「暴食」と「怠惰」が、どちらも「肥満の結果」であるという話。

「レプチン」というホルモンは、「十分なエネルギーがあるから余剰分は燃やしてもいいこと、気分よく感じていることを伝え、長期間にわたって食事摂取量を減らすように、体重を一定に保つようにと指示する」という重要な役割を果たしています(p101)。

そのレプチンのシグナルが伝えられているのに、脳の視床下部がそれを検知できない状況になると、「飢餓状態にあると脳が思い込んでエネルギー貯蔵量を増加させ(暴食)、エネルギーの使用を節約させようとするのだ(怠惰)」(p105)とのこと。つまり肥満は、“飢餓状態”に対抗するために起きていることなのです。この説明を読んで、心底納得いきました。

そして、「飢餓状態ではないのに、脳がそう思い込んでしまう」ことが問題であり、どうしてそんなことが起きるのか?どうしたらそれを防げるのか?が本書の中核をなすテーマと言えます。

 

これまで長い時間をかけて築いてきたこうした生存戦略は、自分の体の中にも息づいているはず。そう考えると、なんだか「よく頑張ってきたなあ」と思えて、先人が経てきた歴史も、その結果の今も愛おしく思えます。

でも、突然これまでとは違う環境におかれた人類としては、その環境に体が順応するのを待つよりは、今の体の条件・生存戦略を生かした体づくり・食生活をした方が良いと思います。また飢餓に陥らないとは言えない、と、きっと体も警戒してるはず…。

 

“工業製品・消費財としての食べ物”の害、絡む利権

必需品という枠を超えて消費財になり、人々を病みつきにさせる物質に変わってしまった」(p5)現代の食べ物。

工場で大量生産され、遠路はるばる運ばれてくる食べ物のなんと多いことか。それを可能にしているのは、「消費期限を引き延ばすための防腐剤」(p60)や、水分を吸って腐りにくくしてくれる糖分や塩分といった添加物なのです。その添加物は、その料理や食材を自分で作ったり、より近い場所で必要な分だけ作られていれば本来は不要なもの。

確かにそれらは安いかもしれないけれど、その対価として、医療費が多くかかる人が増え、みんなで多くの負担を受けざるをえない状況になる可能性が高いわけです。一方そんな食品を売る食品業界は、巨大で力もお金もあり、メスが入る可能性は低い。

もちろん、自分で作れるものには限りがあるから商品を買うのですが、工業製品としての食品に頼りすぎたくないなと改めて思いました。

 

食べ物に関する気づき

私としては、この本は「これまでなんとなく知っていたことが論理的・体系的にまとめられていた」という印象でした。でも、人によっては驚きの連続だとは思います。一部私も「え、うそ?」と驚いた部分もありました。そんな、食べ物に関して改めて納得したこと・気づいたことをいくつか。

 

白米、食べていいのは「週1回」の衝撃

微量栄養素が排除された精製穀物は、血糖値を急速に跳ね上げて、インスリンを多く放出させてしまうのでよくない。このことは、本書でも説明されていたし、前から知ってはいました。しかし終盤に載っていたリストのうち「週1回しか食べてはいけない」リストに白米があり、そんな少ない?!wと衝撃を受けました。

「日本では米が主食である」という、一般的に“伝統的”と思われている考え方(→現代ではそれは「白米」を基本的に想定していると思います)に即すると、この事実は不都合すぎます。また、農業的にも、経済的にも。なのでこの考えが日本で浸透することは正直なさそう…と思いました。まあ、本書によると玄米は好きなだけ食べていいことになっているので、「玄米を食べよう!」という動きならまだありうるのかも。

また、自分が子どもの頃を思い起こすと、白米を食べずおかずばかり食べて怒られたり、白米には何かかけないと食べれない時もあったけど、糖分摂取の点から言うとあながち悪くなかったんだな、と思うのです。ご飯もおかずもバランスよく食べ進められるようになるのが大人だと思っていたけど、その結果不健康になるなんて不条理すぎます…。

パンにせよお米にせよ、精製されたものに囲まれてしまっている現代。炭水化物の摂取はどうにか減らしたい今日この頃です。

 

ジュースは食物繊維がなくてよくないと納得

明らかに人工的な清涼飲料水でなくても、100%のジュースでも果糖が与える体への影響は変わらないそう。それは「丸ごとの野菜と果実に含まれる不溶性食物繊維が取り除かれている」(p287)から。そのせいで、吸収スピードが速まってしまうのです。

私が普段飲むのは専ら白湯やお茶ですが、夏場は野菜ジュースやオレンジジュースを飲むこともあります。それも別に「健康に良さそう」というわけではなく、ただ「美味しいから」という理由でした。なのでこのことはそこまで衝撃ではありませんでしたが、それでも、清涼飲料水と変わらないというのは驚きでした。「夏にジュース飲むのはできるだけやめよう」と思い直しました。

 

ファストフードはやっぱりよくない

私の頭の中では、周期的に、「ファストフードはよくないから避けよう」という時期と、「安さと手軽さに負ける」時期が訪れます。本を読んで、久々に前者に針が戻った感覚があります。

ファストフードは、「食物繊維抜きの食品」として定義されているそう。冷凍しても質感が変化しないように食物繊維が除かれていて、世界中に輸送されても、解凍してすぐ調理できるようになっています(p364)。その代わり、満腹感を得にくくなり、炭水化物摂取のインパクトをもろに受けることになります。

外出を控えているおかげでファストフード店からも足が遠のいている今。前から、ファストフード店へ行っても飲み物だけでしのぐことも多かったですが、特に食事は避けようと思い直しています。

 

 

鉄分サプリに疑問符

飲むようになって数ヶ月経つ鉄分サプリ。

mizukifukui.hatenablog.com

しかし本書で紹介されている調査によると、「複数の栄養サプリメント(特に鉄分)の摂取が、死亡リスクをやや増加させる」という結果が出たそう(p332)。ここで言われる「複数」は、「いろんな種類の」ということなのか「複数同時に摂ったら」という意味合いなのかやや判然としませんが、それでも、「まじで?!w」となりました。笑

「〜〜に効く!」みたいなサプリは全く信用してないし、気休めだろうと思っている私ですが、成分が比較的限定的で、効果も感じているサプリについて名指しで指摘された感じがして驚きました。

鉄分の過剰摂取が、酸化(サビ)に繋がることは、本書でも指摘されているし、私も前から把握しています。なので1日の規定量の半分しか摂っていません。でも同時に仮説として指摘されている、加工のプロセスで添加物が足されたり、必要なものが取り除かれたりしていることへの意識も、もっと持った方が良さそうだと思いました。

 

ホルモンの名称など、聞き慣れない用語も多く出てくるので、とっつきにくさを感じることもあるかもしれません。用語をちゃんと把握していないと「これは何だっけ?」ともなりがち。しかし、巻末に用語集や索引もついているし、ホルモンの役割なども平易に説明してくれているので、読みやすいと思います。

この手の本は、簡単すぎても、巷のビジネス本・啓発本と変わらないはず。そういう本でなく、ちゃんと知りたい・納得したい!という方にとてもおすすめです。私は図書館で借りて読みましたが、新品(2400円+税)で買っても安いと思えるほど、読み応えもあるし手元に置いて読み返したい一冊となりました。興味のある方は是非。

果糖中毒 19億人が太り過ぎの世界はどのように生まれたのか?

果糖中毒 19億人が太り過ぎの世界はどのように生まれたのか?