ふーみんLABO(仮)

26歳女が「納得できる自己紹介」を目指して執筆中。エコ・節約・映画など、私の頭の中を可視化するため、とりあえず色々書いてみようという実験です。

欧米諸国で見た図書館と、映画「パブリック」で見た図書館から考える、今必要な図書館。

先日見た映画「パブリック 図書館の奇跡」では、日本とアメリカにおける図書館の役割の違いをとても感じました。

日本で「図書館」というと、「本があるところ」「本を読んだり借りたりできる」という印象がまず浮かぶと思います。それ以外にも、「飲食禁止」で「喋っちゃいけない」雰囲気や、ちょっと古くてダサい設備、需要に足りてない席数、PCや電源を使える場所は限られるなど。

しかし私は4年前にピースボートの船旅で各地の図書館にも何ヶ所か足を運び、自分が思っていた“図書館像”を覆されることがありました。以来図書館のあり方などには関心を持っています。

(この記事でも言及しています↓)

mizukifukui.hatenablog.com

今回は映画で見たことも思い返しつつ、改めて、旅先で行った図書館の様子や役割・あり方をまとめてみたいと思います。

 

旅先で行った図書館

まずは、私が行って印象に残った図書館を紹介します。

 

ル・アーブル(フランス)

最初に図書館に興味を持ったきっかけは、パリから2時間ほどの場所にある港町、ル・アーブルの図書館でした。上記の前の記事でも書いた通り、乗船者の仲間から「図書館が面白かった」と聞いて出かけてみました。

火山のような特徴的な外観は、建築的にも有名なようです。

madamefigaro.jp

内装も白基調ながら、椅子などがポップな色使いでおしゃれだったのを覚えています。「図書館がおしゃれ」というだけでも、羨ましくなりました。わざわざ行きたくなる。

雑誌コーナーは、自然光が入り、特に明るい雰囲気。

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図書館というと、本を保護するため、日が当たるようなところに本を配置することはないと思っていましたが、それよりも雰囲気重視?な感じ。ブックカフェのような雰囲気でした。

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また、飲み物や軽食を出すスタンドのような設備もあり、Wi-fiもばっちり整備。そんなこともあってか、若い人が結構多かったのが印象的でした。

こんな図書館との出会いで、「これは面白い」と思い、以降の旅でも図書館に注目してみることにしました。

 

大英図書館(イギリス・ロンドン)

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歴史もあり、かなり大きな建物でした。

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歴史的資料の展示もあり、ベートーヴェンモーツァルト直筆の楽譜などに驚きました。これが無料で見れるとは…。いかにも古そうな本が、展示品のように所蔵されているところもありました。

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観光客も来るからか、本や雑貨を売るお店も入っていました。「本を借りるだけじゃなくて、買える」「本だけじゃない」という、印象の変化がありました。

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Wi-fiもあり、自習スペースも充実しているので、PCで勉強や仕事をしていそうな人たちが沢山いました。カフェテリアやレストランも広々とあり、「これなら1日いられるな〜」と思いました。

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ニューヨーク公共図書館(アメリカ)

観光でも有名な、ニューヨークの一等地にあるこちらの図書館。

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こちら↓のドキュメンタリー映画の舞台ともなっていました。(以前映画館で見ましたが、ナレーションなし&一場面がひたすら長くて、作品としての良さは全くわからなかった…今までで一番訳がわからなかった映画です。。)

youtu.be

建物の外見も立派ですが、中も重厚な雰囲気。こういうところで勉強とかしたら捗りそう。

こんな雰囲気でも、すべて大人向けというわけではなく、子ども向けのフロアもしっかりあります。

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PCもあり、インターネットの講座も開かれているよう。

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大英図書館と同じようなショップもありました。ニューヨークに関連する人の本などを多く置いていたのが印象的でした。

私はここで、前からSNSで見ていて好きだったプロジェクトの本「Humans of New York」を見つけて購入。「本場のニューヨークで買っちゃった!!」と、嬉しい思い出の一つとなりました。

Humans of New York: Stories

Humans of New York: Stories

  • 作者:Stanton, Brandon
  • 発売日: 2015/10/13
  • メディア: ハードカバー
 

 

映画で描かれていた図書館

また、映画「パブリック」で描かれていた図書館も、私が今まで行ったことのある図書館とはかなり違うイメージでした。

それは日本とアメリカの図書館の違いでもありますが、国の違いに関わらず「自分がそういうのを見たことがない」「自分はそういう利用の仕方はしていない」というだけでもあり、映画のフィクションというだけかもしれません。でも私にとっては新鮮に映ったことをいくつか紹介しておきます。
 

路上生活者の人が来ている

映画の物語の前提にあるのは、路上生活者の人々が日々図書館にやってくる、ということ。彼らはお手洗いで洗顔などをして、本を読んだりPCでネットサーフィンをしたりして過ごしています。

こういった人たちの図書館の利用は、明らかな例は私は見たことはありませんが、地域によっては身近なようです。コロナ禍で図書館が閉館になり、行き場がなくなった路上生活者の人もいたようです。日本でも世界でも普遍的にありそう。

常連の利用者と職員の間で、言葉を交わせる関係性がある

路上生活者でも、変わった世界観を持つ人でも、受け入れる図書館。本の貸し借りなどのサービス利用時でなくても、会話を交わしたりする様子が映画の中にはありました。

そうやって互いに「顔見知り」になっていたことが、映画の物語の肝でもあります。

PCが普通にある

前述の通り、PCが置いてあって自由にインターネットなどを使えます。ニューヨークの図書館でも見たけれど、いい設備だと思います。

 

図書館の役割・在り方

映画「パブリック 図書館の奇跡」でも、ある登場人物が「図書館って今時行く人いるの?」というようなことを言う場面がありました。アメリカでもそういう感覚の人がいるとすれば、日本ではもっといそう。

しかし、以上のようにヨーロッパやアメリカの図書館を少し見て、「めっちゃいいな」と思うと同時に「図書館って今の時代でも必要なんだな」と改めて思いました。

私が思った図書館の役割・在り方について、いくつか挙げてみます。

 

インターネットも含めた情報へのアクセス・知る権利を保障する場

日本と欧米で見た図書館の大きな違いは、Wi-fiやPCの有無だと思いました。欧米の図書館を知ったことで、「本に限らず、あらゆる手段で情報を得られる場所が図書館なんだな」と考えるようになりました。

また、そういったネット環境のインフラだけでなく、使い方の講座などもあるようで、まさに「情報へのアクセス」を誰でもできるように取り組んでいると思いました。

私が知っている日本国内の図書館は、Wi-fiはなかったり、一応あっても使いづらかったり。インターネットが日常生活から切り離せないほどになり、ほとんどの人がネットから情報を得ているのに、いまだに多くの図書館が「情報=本・雑誌・新聞」と思っているような感じがあります。そしてネットのリテラシーについては教わる場が少なくて放置されている。

ネット環境は他の施設でまかなえればいい、という考え方もできるかもしれませんが、図書館は広く「情報へのアクセス」「知る権利」を保障する場として機能した方が、今の時代には合っていると思います。デジタルとアナログの情報で、お互いに補いあえるし。

コロナ禍でオンラインでの授業なども広がってきた今は、十分にネットを使える環境があるかどうかで学習の量や質も変わってしまう状況。ネット環境の整備は公共図書館に必要だと思います。

 

学ぶ場の保障

図書館の座席というと、本棚の横に並んでいるイメージがあります。あとは、使っていない会議室などを自習用に解放したりとか。明らかに、「本のついでにある設備」だなと思うし、「本を読むこと」がまず前提にあるように思います。

しかし欧米で見られた図書館はどこも座席数が充実していて、そこでは本を読んでるだけの人よりも、勉強などをしている人が大多数でした。

「図書館は本を読むところだ」と思う人も一定数いそうですが、私は、静かで集中できる空間が誰でも使えるように開かれているのは大切なことだと思います。家で勉強できない・集中できない環境の人も多いだろうし、スマホなどの誘惑も多い昨今。図書館の静謐さは今こそ必要だと思います。

 

本の保管<利用のしやすさ・とっつきやすさ

「本を良い状態で保管することよりも、利用しやすさを重視しているのかな」ということも感じました。

図書館内で飲食物を売っているって、「本が汚れる」と思われがちだと思います。ブックカフェの類も、出来始めた頃はそういうことがよく言われました。でもそういう懸念よりも、堅苦しさをなくす・行きやすい場所にするということが優先されているのではないかと思います。

また、洗練されておしゃれな図書館を見て、適度なおしゃれさ・綺麗さがあることも行きやすさに繋がっていそうだと思いました。

 

久々に、映画をきっかけにこういった経験や考えを思い出しました。

国内でも特色ある図書館もあるので、これからも各地の図書館の観察はしていきたいと思っています。