ふーみんLABO(仮)

26歳女が「納得できる自己紹介」を目指して執筆中。エコ・節約・映画など、私の頭の中を可視化するため、とりあえず色々書いてみようという実験です。

「学びあふれる104日間」にするための、洋上での選択。

ピースボート第92回クルーズでは、初開催の洋上プログラム「Global Teachers College(グローバルティーチャーズカレッジ、GTC)」に参加した。乗る前は縁のないものだと思っていたプログラムだったけれど、船で受講を決め参加し始めてからは、これがない船の生活なんて考えられないくらい、私の船上生活の軸となった。

ピースボート乗船の経緯はこちら▶︎自分の直感と可能性を信じたくて、私はピースボートに乗った。

 

「教員志望の方向け」だから、関係ないと思っていた。

2016年2月頃、フルクルーズの申し込みをしたので資料が家に届くようになった。それと時を同じくして、東京・高田馬場にあるピースボートセンターに時々足を運ぶようになった。そのとき、船で開催される洋上プログラム(船賃とは別の料金を払って受講するもの)もいくつか知ることとなる。92回クルーズはプログラムが色々てんこもりだと聞いていたから、いろんな人と出逢えそうだと思って92回に申し込んだような覚えもある。

92回クルーズでは、世界を舞台にテーマごとに学ぶ「地球大学」、”洋上フリースクール”「グローバルスクール」と並んで、「Global Teachers College(GTC)」が若者向けのプログラムとしてあった。

「第92回ピースボート地球一周の船旅」の中で開講される教員志望の方に向けたプログラムです。

GlobalTeachersCollege - ピースボートステーション

しかし、このような説明文を読んだだけでは、全く興味がわかなかった。教育という分野には、大学生になって以降興味があったけれど、教員には絶対なりたくない・なれないと思っていた。いわば従来通りの、学習指導要領に沿った授業をやってみたいとは思ったことがなかったし、先生に憧れたこともなかった。別に子どもが好きというわけでもない。

教育への関心は、海外に行ったときに、自分と同じ大学生という立場の人たちの生活や考えを知りたいと思ったことがきっかけなので、高等教育には関心はあった。あと、自分の好きなこと・伝えたいことなら、みんなの前に立って話したり一緒に何かしたりしたいと思っていた。

そんな私だから、教員経験者・教員志望向けと聞いても魅力を感じなかったし、壁を感じていた。資料に同封されたチラシも一瞥しただけだったし、GTCに参加するという人とピースボートセンターで出逢っても、へえ〜すごいなあ、と思っただけだった。

 

 船に乗ってから、もやもやしていた。

2016年8月18日、横浜・大さん橋から2度目の出航を迎えた。このときの気持ちはどん底だった。胸を張って「行ってくる」と言うことが誰にもできなかった情けなさと申し訳なさ、不安でつぶれかけていて、せっかくのハレの日なのにこんな感情になっている自分が嫌で仕方なかった。

https://www.instagram.com/p/BQvYcYSgliP/

(全然写真を撮る気分ではなかったけれど、涙をふきながら撮った。笑)

それでも、出発してしまったからには楽しまねば、がんばらねば、と思っていたが、乗った目的のひとつである自主企画の申請は数日間始まらないし、周りの若者は出航したてというのもあってか盛り上がっている人ばかりで、地に足付けていろんなことを学んでいこう、という姿勢を持っている人はほぼ見当たらなかった。学びのある旅でなければ旅に出ないという自負のもと船にも乗った私は絶望しかけて、90回のとき出逢った人たちが恋しくて仕方なかった。

夏のクルーズは、年3回のクルーズのうちいちばん若者が多くなる(92回は250人前後だったと思う)。初めて体験乗船したのは冬のクルーズだから若者は少なめ(100人弱)で、イベントごとがいまいち盛り上がらなかったとかの話を聞いて、夏の若者の多い回にしてみようと思って92回を選んだというのも、クルーズを決めた理由の1つだった。だけどふたを開けてみたら、皆きっと根はいい人たちなんだろうとは思っても、なかなかとっつきにくかった。

旅が始まって数日で、すでに焦っていた。

 

「学び溢れる104日間にしたい人集まれ!」

8月23日、船旅6日目。船室に毎日配布される「船内新聞」で、私向けなんじゃないかというような企画が紹介されていた。「学び溢れる104日間にしたい人集まれ!」と銘打たれた、地球大学とGTCを担当スタッフが紹介する企画。プログラムを取る気はなかったが、企画名から、何か得られるんじゃないかと思って足を運んだ。

軽いワークショップを経たあと2つのプログラムの紹介にうつった。地球大学については、乗る前から受講を考えたが、テーマの広さから、自分に引きつけて考えるのは難しそうだと思ってやめていた。

GTCは、「教員向けと書いていたんですが、ひろく教育に関心がある人たちに向けて行います」みたいなことが言われ、「あれ、それならやりたいな」と思えた。そして、受講生ということでその会に呼ばれていた2人が前に出てコメントしたのだが、2人とも知ってるどころか、1人は90回の体験乗船で一緒だった子だった。その子のプログラムを取って自ら学んでいくという姿勢は意外にも見えたから希望が見えたし、「そしたら私もいけるな」とポジティブに思えた。

その企画が終わり、「興味ある人は残ってちょっと話しましょ〜」ということで、私は話を直接聞きにいった。ここで初めて、担当スタッフの人と、アシスタントの人と話をした。担当スタッフのみどりさんは、大学2年のときピースボートに乗り、その後団体を立ち上げ、そのまま団体の代表として活動している人。

(詳しくはこちら▶︎コアプラスとは? - 一般社団法人コアプラス

みどりさんのフランクでフレンドリーな雰囲気から、「この人のつくるプログラムに関わりたい」と思ったし、教員向けだからと全然見ていなかったプログラムの内容も、説明を聞いてみたら自分に必要で、求めているものだと強く感じた。体験乗船のときはホームルームがあって良かったという経験から、今回も軸になる場所が必要なのかもしれないとも思っていた。

後日ゼミも体験受講させてもらい、参加を決めた。受講費5万円は、出航前に母から保険代として授けられたお金の余りと、みどりさんから数千円借りることでどうにかした。

 

GTCが、船旅の存在を「本当」にしてくれた。

最終的なGTC参加者は11人。スタッフ・アシスタントも含め、13人のチームになった。学生と社会人が半々くらい。いろんなバックグラウンドを持った人たちと、しっかり関われる。

船上で過ごす日はほとんど毎日1時間半のゼミの時間を持った。寄港地では教育現場を見に行くオプショナルツアーやオーバーランドツアー(船から離れて、他の国などを訪ね、後日合流する)が推奨されていたが、それはまた別額がかかるので私は行かず、仲間の報告を聞いた。

船旅が終わって、日常に紛れて、船での日々が幻だったかのように思えるときもある。だけど、GTCで共に過ごしたみんなと、みんなと一緒に過ごした時間と、その時間が作り上げた関係性は、地球をぐるり一周する船に104日乗っていなければなかったものだと確信できる。幻じゃなかった、と思わせてくれる。

https://www.instagram.com/p/BN2JDQzBghZ/ (みんなでみんなに送り合ったメッセージ。)

 

GTC=自分を観察するベース

「学び溢れる104日間」は見事に叶って、その軸としてGTCは本当に参加してよかった。だけど、実際にGTCでいちばん学べたのは「自分のこと」だった。思考のプロセス、話し合いをするときに何が必要か、特性のでこぼこ、、それらは、みんながいるからわかったことだった。多様な人たちがいるから、その人たちのことを知るたび、それだけ自分のことがわかったと思う。

GTCは、自分を観察するベース(基地)になったなと思っている。みんながここに来て、話して、お互いがお互いを通して自分のことを知れて、自分の力を信じられる。そしてまた基地を出てそれぞれの時間を過ごす。ほぼ毎日同じ時間に集まっていたから、前日何時に寝て、何時に起きて何をどのくらい食べれば調子良くGTCに行けるのか考えて、いろんな生活を試した。そういう意味でもベースになるものとしてGTCは大きかった。

本当にこのプログラムと出逢えたことが、92回で良かったと思わせてくれる。

毎回のゼミの内容などはこちら▼

gtc2016.hatenablog.com