ふーみんLABO(仮)

26歳女が「納得できる自己紹介」を目指して執筆中。エコ・節約・映画など、私の頭の中を可視化するため、とりあえず色々書いてみようという実験です。

映画「リトルフォレスト」が大好きなのは、生きる実感を思い出させてくれるから。

ちょっと気持ちが疲れたり、停滞しているときに、いつも見たくなる映画がある。

リトル・フォレスト」。東北地方の集落でひとりで暮らす主人公いち子が、春夏秋冬の季節の移り変わりの中で、生きるために食べ、食べるために育てる生活を淡々と続けていくさまが作品になっている、という感じ。

マンガ原作。季節ごとの4部作になっていて、夏編・秋編と、冬編・春編がある。

2014年8月30日公開の夏編・秋編▼


映画『リトル・フォレスト 夏編・秋編』予告編

リトル・フォレスト 夏・秋
 

2015年2月14日公開の、冬編・春編▼


映画『リトル・フォレスト 冬・春』予告編

 

この作品の主役は、人ではない。

本当に、淡々としている。里山の自然と、そこで営まれる生活、ひいては料理が主役。主役は人ではない、と思った。でも本当は、それくらいの感覚で生きるのがちょうど良いのだと言われている気になる。人間は本当はちっぽけで、自然に生かされているんだよ、と。

それでも、いち子たちの生き様や葛藤が所々垣間見える。どうしていち子がここで暮らすのか、少しずつ見えてくる。そのバランスが絶妙だと思う。

 

自然の、映像の美しさと素朴さ。

夏の緑、秋の田んぼの黄金色、冬の銀世界、春のやわらかい日差し。岩手で1年間を通して撮ったという映像はとても美しい。目が、脳が、喜ぶ。見ているだけで、「生きてる!」という喜びがびりびり来る。

私は夕焼けが好きで、夕焼けを見れたら嬉しくなる。森や山が見えると嬉しくなる。自然とつながっているという実感が好きなのだと思うし、ただ理由なく、心と体が喜ぶのを感じる。だからできるだけ、そういう喜びのある場所で暮らしたいと思っている。

https://www.instagram.com/p/BQ49ghbA4Qh/(こちらは島根、、左上に写る家に1ヶ月滞在してインターンの活動をした)

 

自分で作る、丁寧な暮らし。

作品の中では、「え、これ作れるんだ?」という発見がいくつもあった。ソースとか、ヌテラとか。買い物ができる店が近くにないこともあって、自分で作らなければいけないというのもあるだろうけど、どれもアイデアがすごい。

何でも買って手に入れるのが当たり前な都市での生活。既製品を買うほうが安く済むかもしれないけど、買って使うというだけではつまらないと思ってしまう。都市生活は忙しくて、お金がなければ暮らせないから、みんなお金を稼いだり節約することに必死だ。生活の手間をできるだけ省き、手短にこなしていく。

だけど、里山では山には山菜も実のなるものもたくさんあって、田畑をやれば食材がたくさん得られる。素材がたくさんあると、これをどうしようか、と頭を使うことになる。何もせずに放置したら、せっかくの素材は腐って食べられなくなる。

私は、生活の手間こそ、省かず愛おしみたい。都市も田舎も、どちらも忙しくて、田舎=スローライフというわけではないのはよく知っている。でもどちらの忙しさを取りたいかといったら、私は田舎で「生きる実感」を大切にしながら日々をつむぎたい何も考えないで暮らすのはいや。それぞれやる理由があることをしたい

https://www.instagram.com/p/BQ48zvvgiar/(島根にて。トマトのパック詰めの手伝いをして、はじいたものを全てもらったときの。後日の休日に半日かけて、インターン生2人でトマトソースを作った。)

 

田舎の、離れられない人間関係が、良い。

田舎育ちの人で、人間関係・コミュニティの狭さが嫌だと言う人が結構いるようだけど、都市部育ちの私としては、おせっかいなほど気にかけあう関係性はうらやましい

映画の中では、近所のおばちゃんたちがいち子の家でお茶するシーンや、縁側に腰掛けて話したりご飯を食べるシーンがあって、どれも愛おしくて仕方ない。

いちばん好きなシーンは、いち子と親友キッコが小さなけんかをしてしまい、後日、キッコがいち子の家を訪ねて「カレー作ってきた。一緒に食べよ?」というシーン。普段いち子のものを食べることが多いキッコだからなおさら、作ってきたというのが心あたたまるし、こういう仲直りの仕方ができるってすばらしいなと思う。

人がたくさんいる都市での生活なら、気に入らない人には会わなければ良かったり、けんかをしたらそのまま縁遠くなったりすると思う。だけど田舎は、お互い助け合って生きていかなければならなくて、その人に会わずに暮らしていくのは難しい。だからこうして、悪かったと思ったら謝って、仲直りして、その後は普通に過ごしていくんだなあと、思った。

 

「言葉はあてにならないけれど、私の体が感じたことなら信じられる。」

夏秋の予告編でも出てくるこの言葉。私はこの言葉に心から共感する。こう思うから、危ないと言われてしまっている中東に自ら足を運んだり、何もないと言われてきた田舎に行ったりする。結果どちらも私にとってはある種理想の世界だった。中東も、日本の田舎も、私にとってはどちらも大切。あまりにも極端に離れたフィールドへの興味が自分の中にあるということについて悩んだこともあった。

そしてたどり着いたのは「人間らしく生きたい」という気持ちで、それを実現できているように見える2つの世界に強烈に惹かれているのだ。その人間らしさというのは、無機質でなく、互いに有機的につながり助け合い、みんなが大きな家族のような感覚を持っているということ。そして、"迷惑"でなく"お互い様"と思って助けるその先に、それがいつか自分に返ってくることを知っている、そうやって巡っている社会。

 

こうして、私は何を大切にして生きていきたいのか、つくづく実感できる作品が、「リトルフォレスト」。おすすめ。