抽象的なものを具体的に捉える力、人だけができることへの集中。私が使うキャッシュレス決済7つと、そんな時代に思うこと。
ここ1年ほどで一気に盛り上がってきた「キャッシュレス決済」。政府も、10月の消費税増税と合わせてキャッシュレス決済を普及させようとしているし、IT関係の企業もそうでない企業も参入して群雄割拠。この世の中の動きを、個人としてどう捉えるか?どう対応するか?が問われる時代だと感じています。
私は今年から一気にキャッシュレス決済を様々使うようになりました。その理由と、使っている決済手段について紹介します。
キャッシュレス決済=現金以外の支払い方法
「キャッシュレス(Cash:現金、less:なし)」という言葉の通り、現金でない決済・支払い方法のこと。以前からある程度普及しているクレジットカードはもちろん、
などが含まれます。
なぜ私がキャッシュレスに肯定的になったのか
世の中のキャッシュレス化の動きは1年前頃から気になっていて、色々試してみたいとは思っていた私。しかしその時使っていたスマホはiPhone5(16GB)で、決済関係のアプリやApple payに対応していない(or使えても重そうで不安)という状況でした。
しかし、今年iPhone5歴丸6年というタイミングで、満を持してiPhone8に移行。ずっと気になっていた様々なキャッシュレス決済を試せるようになりました。
ではなぜキャッシュレス化が気になっていて、試したいと思っていたのか。理由を考えてみます。
「現金にかかるコスト」を知った
硬貨やお札を製造するのにもお金がかかっている、というのはよく聞く話かなと思いますが、それ以外にも「現金にかかるコスト」はあるようです。以下のような記事をいくつか読むうち、「お店側も、レジに関する手間が減らせる」「お店にかかってしまう手数料以上に、お店にも客にもメリットがある」と思うようになりました。
Zaimで5年ほど金銭管理してきたから
2014年から、スマートフォンアプリやウェブブラウザから使える家計簿サービス「Zaim」を使っています。アプリのおかげで、何かの支払いをしたらスマホですぐに記録する習慣がつきました。zaim.net
また、2017年からは、それまで財布から現金で出て行ったお金だけを管理していたのを、クレジットカードも含め管理することに。引き落としの金額や日付も確実に把握できるようになりました。
そんな習慣があったので、今様々な種類が出ているキャッシュレス決済に手を出しても、お金の動きを把握できるだろうという自信がありました。使い始めた時は、Zaimの設定をどうするかなど考えるのに頭を使いましたが、最近は慣れてきて、良い具合に使えていると思います。
お得だから
アンケートモニターを始めてから、「1件数円分を得るためだけでも手間がかかるんだなぁ」ということや、その数円分が積み重なるとまとまった額になることを実感。「数円でも大切にしなきゃ」「節約できるところは節約して、使うべきところに使いたい」と思うようになりました。要はケチになった、とも言えます。
そんな中、現金で払っていては何も得られないのに、支払いをするだけでお得になるキャッシュレス決済にも目が向きました。クレジットカードやプリペイドカードは、使った額の1〜2%還元があったり、最近話題のスマホ決済アプリでは20%還元があったり。
カード類は、元はと言えば加盟店がカード会社に支払った手数料の一部が私たちに還元されているはず。それはお店の利益を損ねているような気もします。でも、上記のように「現金にかかるコスト」もあるわけで。ここはどちらを取るか、客もお店も選択すべきところ。
私が導入している、現金以外の支払方法
では、私が使っている支払い方法を紹介します。まずは一覧で。▼
種別 | 還元 | 使っている期間 | これまでの還元額 | |
---|---|---|---|---|
P-oneカード | クレジットカード | 請求額1%割引 | 2年5ヶ月 | 5379(推定) |
Kyash | プリペイド式Visaカード | 2%キャッシュバック | 5ヶ月 | 1753 |
iD | 非接触決済(Apple pay) | (クレジットカードに準ずる) | 5ヶ月 | × |
モバイルSuica | 非接触決済(Apple pay) | (クレジットカードに準ずる) | 5ヶ月 | × |
PayPay | スマートフォン・コード決済 | 3%(キャンペーンで20%など) | 4ヶ月 | 4243 |
LINE pay | スマートフォン・コード決済 | 0.5%〜 | 4ヶ月 | 4502 |
メルペイ(iD経由) | 非接触決済(Apple pay) ・スマートフォン・コード決済 |
(キャンペーンで50%など) | 4ヶ月 | 1119 |
P-oneカード(クレジットカード)
私は、大学とカード会社が提携して発行しているカードを、大学に入って以降所持していました。でもそれは海外旅行のための発行でしたし、日常生活ではたまにネットでの買い物だけで使うくらいでした。
しかしある時、イケダハヤトさんが使っていたと紹介していて、「ポイント還元ではなく、請求額の1%割引」というところに惹かれたP-oneカード。
「将来よくわからない職種になりそうだし、今のうちに納得いくカードを発行しておこう」という思惑もあり、申し込みました。オンライン決済ではすぐ使うようになりましたが、対面での買い物でも積極的に使うようになったのは最近です。
と言っても、最近はカードが使える場面ではKyashをメインに使っているので、色んな決済サービスを紐づける先としての利用が主です。
Kyash(プリペイド式Visaカード)
SNSやネット記事で見て、「2%キャッシュバック」が気になり使い始めました。
クレジットカードやコンビニからチャージできて、チャージした金額からすぐ決済される仕組み。バーチャルカード(オンライン決済に使える)はアプリ上ですぐ使えるようになります。リアルカードは、発行を申し込むとしばらくして送られてきて、だいたい普通のクレジットカードと同じように、日常の買い物などで使えます。
使い始めて4ヶ月ほど・リアルカードが届いてからは3ヶ月ほどですが、毎月500円前後のキャッシュバックが得られています。
ただ、クレジットカードにはだいたい付いているICチップがないので、決済の時は機械に差し込むのではなく、スライドさせる方式。お店で店員さんがその点に不慣れだと時間がかかってしまったり、使えないと言われてしまうのが少しネックです。
また、クレジットカードと同じ感覚と言っても、チャージ額以上の決済はできないので、チャージしてある額と購入したいものの額に注意が必要です。オートチャージも設定できますが、私は使っていません。
使った額はアプリ上にすぐ反映されるので、「使いすぎが心配」という人にはおすすめ。私は2%キャッシュバックというメリットがなければ使わないな、と思っています。
Apple payでiD(非接触決済)
P-oneカードがApple payに対応していて、登録するとiD決済で使えるようになります。
クレジットカード類は使えないけどiDは使える、もしくはカードを出すほどではない少額の支払い(例:ファストフード店やたい焼き屋で100円代のものを買うとき)の時に使っています。
Kyashのリアルカードを使うまでの1ヶ月ほどはこれをメインで使っていて、すごく楽でした。KyashがApple payにも対応してくれれば一番良いんですが、、
Apple payでモバイルSuica
これまで、電車の交通費はPASMOを使っていたのですが、アプリでチャージできることや、残金などを把握しやすいことからモバイルSuicaに登録。
駅で券売機に寄ってチャージする手間・時間、残金不足で改札で引っかかる苛立ちや恥ずかしさ、、これらから解放されました。とっても楽です。P-oneカードからチャージすることで1%割引も適用され、お得感もあります。
PayPay
キャンペーンで話題のサービス。最初はSNS等で話題になっていても興味はなかったのですが、一時ハマったフレッシュネスバーガーが、キャッシュレス決済はPayPayのみ導入しており、「登録して500円くれるならバーガー1つ食べれるし、キャッシュレスが良いし」と思って登録。
アプリで「近くのお店」を見てみると、地元の飲食店や美容室などたくさんのお店が出てきてびっくり。使えるのは都会の中心部や全国チェーンだけのようなイメージがありましたが、個人のお店にもかなり導入されているようです。どうやら今は手数料も無料にしているようなので、「お店の利益が…」という懸念もありません。
1%や2%の還元でも侮れないのに、PayPayのキャンペーンでは20%還元。キャンペーン後も、現在は還元率3%なので、上記カードよりは高い。還元で得た額も4000円以上と、それほど熱心に使っていなかった割になかなかの額です。
LINE pay
こちらも大きいキャンペーンを打って話題。
パソコンを買い換える際ソフマップで中古品を買ったのですが、ちょうどLINE payで払うと還元のキャンペーンをやっていたのでそれ目当てで登録。約4500円分のポイントをゲットしました。
それ以降は、LINEポイントを使ってコンビニで買い物をする時などにLINE payを使っています。ポイントの残高がないなら他サービスで十分、という印象です。
メルペイ
上記2つに比べれば後発ですが、時々キャンペーンで高い還元率になるので、その時に使っています。
メルカリでの売上金をそのまま使えるのは、メルカリで出品をよくする人にはメリットでしょう。Apple payに登録できるので、モバイルSuicaにメルカリの売上金をチャージすることなどもできます。
また、クレジットカードを持っていなくても「あと払い」が使えるというのは、クレジットカードを持っていない人にはメリットかもしれません。
キャッシュレスの時代に思うこと
キャッシュレス決済を調べたり使ったりする中で、考えさせられたことも色々ありました。いくつか整理してみます。
決済サービスが使えるかどうかや、キャンペーンで一喜一憂するのは、正直面倒。
今、特にスマホのコード決済は群雄割拠。そしてどれも、「どこでも使える」という普及率まではたどり着いていません。なので、行くお店で何なら使えるのか調べたりするのは面倒です。
そして節約もしたい私としては、お得なキャンペーンは適度にチェックして使おうとしていますが、これも「このお店でも使えたのか…損した…」という気分になることも時々あります。こんな一喜一憂は、楽しめれば一番良いですが、キャンペーンが色々ありすぎてそろそろ面倒になってきた、というのが本音。
マネーリテラシーを自分でアップデートする必要性。
カードなどを介することで、企業に個人情報・決済情報を渡しているという面もあるので、“キャッシュレス=得しかない”というわけではありません。でも、キャッシュレス決済で浮かせた金額は侮れないと思うのも事実。
私はこの手の情報はSNSやネット上の記事で知ることが多いので、そういうものにアンテナを張らなかったり、気になって調べたり試したりしなかったら、それなりのお金がそのまま出て行っていたはず。
そう考えると、マネーリテラシーの重要性を感じます。私は義務教育でもっとお金についてしっかり教えるべきだと考えていますが、現状の義務教育ではそこまでお金のことは扱っていないと思います。お金についてもっと早く、ちゃんと学びたかったなという気持ちはありますが、現状では自分で知識をつけアップデートしていくしかありません。
抽象的なものを具体的に捉える力が求められる時代。
「キャッシュレス決済だとお金を払った・もらった実感が湧かない」ということは、現金派の人は特によく思うことだと思います。私も時々、カードやアプリで支払いを済ませても、「結局いくらだったんだっけ?」となってレシートを見返すことがあります。
お金に限らず、コミュニケーションも、直接会わなくてもメールやSNSでのやり取りができるようになり、短い文面で相手の意図を判断することも増えました。そして、直接知らない人にもSNSで連絡できたり、逆に罵詈雑言を浴びせる人も出てきました。
遠く離れた場所にいても、いつでもコミュニケーションが取れる。便利さ・生産性・効率の良さを追求して、どんどん実態・リアルなものから離れていく。いろんなものが抽象的になっている時代だな、と思います。
だからこそ、目の前に現れる文面や数字の奥にいる人、その思いを、想像して、よりリアルに感じる力が求められる時代だと思っています。そんな時代に必要なのは、多様な人と出会ってお互いを知ること、いろんな経験をすること。
話が飛びますが、以前ポーランドにあるアウシュビッツ収容所跡に行った際、解説の方が話していたことが強く残っています。
「ユダヤ人をガスで殺し、ユダヤ人囚人に遺体を火葬させることで、ナチ将校は人が殺され焼かれる様子を見なくて済んだ。だから罪悪感が薄れた」「ナチの幹部に伝えられるのは物や材料としての量であり、数字でしかなかった」という話。
直接自分の目で見なくなること。それぞれの人生がある一人ひとりを、数字としてしか見れなくなること。そのことがもたらす恐ろしい末路。今生きている人類は、それを知っているはず。少なくとも、私は知っている。だから私は、具体を大切にしたい。
「人間にしかできないこと」へ、コストも人間も集中していく時代。
「具体を大切にしたい」のに、お金は抽象的で良いのか、と思われるかもしれません。
でも、具体を大切にするためには、時間や気持ちの余裕が必要。レジを締めてお金を数える作業、現金を引き出すATMを維持するために24時間開くコンビニ、、これって果たして時間をかけてすべきことなのでしょうか。
これまでも機械やロボットは普及してきたし、人手不足の問題やAIが少しずつ身近になってきている昨今。「人間らしいこと」「人間にしかできないこと」にコストも人間自身も集中していくべき時なのかもしれません。そしてそれをどう捉え選択していくかという点に、その人の個性が出るんだろうな。
そして、私は今後お金を動かすことに関しては、想像力を働かせつつ抽象的に使っていく方にシフトしようと思っています。
キャッシュレス、あなたはどう捉えますか?
長くなりましたが、キャッシュレス化の進む世の中を私はどう捉えるのか、自分でも整理しつつ紹介したつもりです。今の時代はいろんなものの過渡期だなと感じることが多く、キャッシュレス決済もまさにそう。これをどう捉え動くのか問われる時代だし、その動きによって何を得て何を失うのか、各々が考えていけたらいいなと思います。