ふーみんLABO(仮)

26歳女が「納得できる自己紹介」を目指して執筆中。エコ・節約・映画など、私の頭の中を可視化するため、とりあえず色々書いてみようという実験です。

本心と発言のズレ、量や速さを求められるメディアの構造が持つリスク…「ヨブンのこと」を聞いて思ったこと②

先日に続いて、ラジオ番組高橋みなみ朝井リョウ ヨブンのこと」5/31の回で聞いた話と、私が思ったことを書いてみます。

「ラジオにも繋がることがある」という流れで、番組後半で触れられた「岡村さんの件」に関しての話。同じニッポン放送の番組でよく話切り出したな〜と感心させられたし、色々と納得いったり「そういうものなんだな」と思えたことがありました。

(6/7まではタイムフリーで聴けます。今回話題にするポイントからシェアしてます▼)

radiko.jp

 

話の内容

今回話題にしたいところの話の概要を、何点か箇条書きしておきます。

  • ラジオを何年かやっていると、ブースという特殊な空間の中で、目の前の人や聞いている人に対して「盛り上げなきゃ」「笑わせなきゃ」という気持ちから、「言わなければよかった」っていう言葉が自分から削り出てしまうみたいなことは、立場的にはわかる。
  • 日々生きていて沢山トピックが生まれるわけではない。まさにコロナ禍の中では。となると、(話題として)手っ取り早いのが誰かを悪く言うことか下ネタ、ということになる図式はわかる。
  • (たかみなさんが月曜〜木曜で出演中の)TOKYO FM「これなに」で、パートナー制になり、これまで自分がずっと2時間言葉で埋めなきゃと思ってたところに、ちょっと余裕ができた。1人でやってた時に思ってもないことを言ってたな、という気づきもあった。
  • ラジオはしゃべり続けないといけないから、余計「何か言わなきゃ」ってなる。

 

私が考えたこと

皆も、言いたいことと言ってることが一致してない時があるんだね。

私はこれまで、「うまく自分の考えを話せていない」という感覚をいろんな場面で感じてきました。

それは、言葉や“伝える”ということへのこだわりが強いから、「もっとちゃんと伝えたい」「納得いく言葉選びをしたい」と思うという意味でもそう。

また、言語学の表現を借りると「低文脈」なところがあって、突然話を振られたり主語や目的語のない質問をされると、何を聞かれてるか特定するのに苦労したり、私の思う答えをしたはずなのに要領を得ない表情をされて「あれ?」ってなったりします。

あと、具体的な名称を思い出せなくて「知ってるはずなのに出てこないのがもどかしい」とかも含め、いろんな意味で「うまく話せない」という感覚。

それで、文章の形でアウトプットをすることで「頭の引き出しの在り処を管理して、中身を整理整頓する」みたいな感覚で、ブログを書いてきました。

一方で、「自分はこんなだけど、他の人はそうではない」という前提でこれまで考えていました。だから、他の人の話を聞いている時は、言外の思いや総合的な「言いたいこと」を捉えようとするよりも、細かい言葉尻をとらえて、意味を追及したり、一喜一憂することが多かった。

だけど最近、「他の人も、言いたいことと言ってることが一致してない時もあるんだなぁ」となんだかようやく腑に落ちてきた気がしていて。今回の放送を聞いて、「「何か言わなきゃ」とか「笑わせなきゃ」という思いから発される言葉も多いんだ」と、ラジオ出演者の声として聞いたことでちゃんと分かって、より納得がいった気がしています。

ついでに、こう思うようになったのは、この3年ほどとても聞いているミュージシャンの一人・NakamuraEmiさんのあり方から影響されていると思います。直球な歌詞が印象的な彼女の歌は、本人曰く「もっとこう言えばよかった、ってことが沢山あるから、それを歌詞にしている」というようなことらしいと、よくいろんな場所で話しています。

私も本人を目の前にしたときとか、会話のなかとかでは、結局言葉にできずに終わってしまうことが多くて。家で、日記みたいなのに「もっとこうやって言えたらいいな」ということを書いて、それが歌詞になっていくから。

「RAMMELLS×NakamuraEmi対談 自分の感情を隠しがちな人へ」より

この話に「いや〜わかるわ〜〜」と心底共感し、「ということは自分以外にもそういう人がいる」とはたと気づき、「言いたいことが言えてないとか、もっとこう言えばよかったって思うことって、みんなそうなのかも」と思うようになりました。

 

岡村さんの発言は、メディアが構造的に孕んでるリスクの上にあったんだな。

以上のように、なんでもない人のなんでもない意思疎通でもこうなのに、ラジオやテレビ番組での出演者の発言となると、もっと難しいのだなとも気づかされました。

狭いスタジオやブースの中で繰り広げられることを、全国で沢山の人が見聞きしている。盛り上げなきゃ、笑わせなきゃ、数秒黙ったら放送事故、喋り続けなきゃ、、などなど、プレッシャーがある。余裕がない。

そういう、メディアや番組自体が構造的に持っているリスクの中で起きた出来事の一つが、岡村さんの話だったんだなあと思いました。だから、彼一人・個人を責めるだけでは意味がないなと感じました。

SNSでもニュースでも、量や速さが求められる、今のメディア。結果、不正確な情報が流布されたり、人を傷つける言葉がそのまま発されてしまうことにもつながっている。もともと孕んでいるリスクから、綻びが出やすくなる構造になっているのでしょう。

そんな考えがあってかは知りませんが、岡村さんの番組は、6年弱ぶりにコンビでやることになり、生放送から収録放送になったようです。賢明だと思います。

news.mynavi.jp

調査報道をはじめとする「スロージャーナリズム」ももっと必要だし、娯楽系の番組でも余裕の持てる番組作りをしてほしいところ。その上で、それに携わる人は、上記のような“リスク”を分かった上で、そうならないように自分を律したり、できる対策をして欲しいなと思います。

 

「手っ取り早いネタ」に安易に頼るのも、人ごとではない。

「日々生きていて沢山トピックが生まれるわけではない」というたかみなさんの言葉は、聞いた朝井さんも「本当にそう!」と強く同意していたし、私も聴きながら頷いてしまうほど全く同感でした。

というのも、「ネタがない」って、私でさえ、素人のブログ運営でさえ思ってること。だから、苦し紛れに「手っ取り早いネタ」に頼ってしまうのも、本当に人ごとじゃないなと思ったのです。そういうことは前からしたくないとは思っているけど、より一層「気をつけよう」と思いました。

 

めちゃくちゃ考えさせられた30分間の放送でした。ラジオ放送で聞けるのは、ニッポン放送と4局のみの「ヨブンのこと」。こういう回ばかりではない(逆に相当珍しい、大体バカげたことをしてる笑)けど、もっと放送ネット広がればいいのになぁ…。

 

追記:前後の記事もあります。

mizukifukui.hatenablog.com

mizukifukui.hatenablog.com