ふーみんLABO(仮)

26歳女が「納得できる自己紹介」を目指して執筆中。エコ・節約・映画など、私の頭の中を可視化するため、とりあえず色々書いてみようという実験です。

現代アートのR15“ポルノ”作品の前でズボン下ろしてるおじさんと遭遇しちゃった話。土地の歴史の再現か、ただの変態か…

先日、横浜市内で開催されていたアートフェスティバル「黄金町バザール」に行ってきて、すでにそれについて2記事書きました。

そこで「ある事件があった」と書いたのですが、今回はそれについて書いちゃおうと思います。タイトルの通りではあるのですが、個人やタイミングによって不快に思われる可能性がある話なのでご了承ください。
※写真は撮っていません
※記憶頼りで書くので不正確かもしれません

 

「エビのためのポルノ」の作品群の一つ

事件(?)の現場となったのは、エレナ・ノックスさんが発案し、このイベントに向けて開催されたワークショップで作られたもの・アイデアを展示した作品群。街の小さな一軒家?の1階・2階を使っていろんな方の作品が展示されていました。

作品の出発点は、NASAが1960年代に行なったある実験とその結果を知ったことだそう。それは、海藻やプランクトンが入れられ、閉じられていても持続可能な環境なはずの水槽を作ったものの、水槽に入れられたエビ(オスとメス1匹ずつ)が生殖行動をしないので1代限りで終わってしまう、というもの。

そこで作者は「エビのためのポルノがあれば良いのでは?」と思いつき、どんなものがエビにとってセクシーかなど、ワークショップのブレストがされたそう。「持続可能な社会とは」というような、社会的な問題提起でもあります。

私としては、その発想は面白いと思いつつ、作品自体は理解が及ばないものばかりでした。(詳しくはこちらの記事で。)

 

15歳以上のみ見られる作品の小部屋で…

で、いろんな作品がある中で、入口にすずらんテープで暖簾のように仕切りがある小部屋が。中二階に位置するその部屋の入口には、「15歳以上の方のみ閲覧可」「一人ずつご覧ください」というような注意書きがありました。

最初その建物に入ったとき、その小部屋に人の気配を感じたし、その注意書きも読んだので、私は「空いたら見てみよう」と思っていました。

1階の展示室は、暗幕が張られ暗くなっていて、映像作品が上映されていたり。床部分にエビたちが蠢いているような展示の横は、例の中二階の小部屋の下部分だけ見えるよう暗幕が張られていました。

まずそこで、暗い部屋にいるから明るい方向には目が向きます。白色ベースらしい小部屋の様子がちらっと見えて、「ここがあの部屋なのだな」「人がいる」ということを把握。そして、私が順番に、かつ一瞬で把握したのは

  • やたら“呼吸”が聞こえるような…
  • やたら長居している
  • その人の足が見えた
  • ん?ズボンを脱いで下ろしている…?!

ということを把握し「???」となりつつ展示を見ていたら、その暗幕がぐっと上に上がる。

明るくなったし、人間って動きがあったら見ちゃう。のでまたその方向を見たら、おっさんが少し屈んで暗幕の間からこちらを視認してきた。そのおかげで、ズボンを下ろしているのも明確に見えるわ、多分目合ったわで。一瞬だったし、おっさんが中二階から屈んでいるという状況のおかげで、パンツor急所は見えなかったのが不幸中の幸い。笑 

もう「はあ〜〜〜???」ですよ。私が女子らしい女子だったら悲鳴をあげていたと思う。私は声にならない声で「ひっ」となって、目を見開くくらいの反応でしたけど。

さすがに、そんなおっさんと、互いに存在を認知しながら布や壁1枚挟んで対峙するのはきついものがあったので、そそくさとその場を後にしました。

言葉にならない憤りやもやもやを胸に、その展示を後にしました。

 

実際見てみた作品は…

「あんなおっさんのせいで見れなかったなんて悔しい」「てかそんなそそる作品なんです?(全然普通だったら、そのおじさんの想像力wwってなるなと思ってw)」という思いで、その作品を後日見に行ってみました。

2〜3畳分しかないその小部屋には、空間の装飾と合わせた映像の作品がありました。映像は、不思議な女性のナレーション付きで、確かエビの頭の被り物をした女性が、パンツだけの姿で、ポーズをとったりしているというもの。(記憶だけで書いてるので不正確かもしれません)

上半身は何も着てないし、豊満な胸も開けっぴろげだったけど、私はもっと露骨にエロかと思ってたので「あ、へ〜」っていう感想。まあ「18禁」じゃないし、私が女性だからか。そして作品群全体に感じた“理解の及ばなさ”は、この作品も同様でした。

 

事件に際して思ったことと、その考察

仕切りあるといえども公共の場ですけど?

いくら仕切りがあって、一人だからって、何してるんだ、という話です。週末には子ども連れだっているようなイベントです。遭遇したのがまだ私でよかったよ。まあこの人も平日だから居て、そういう行為に及んだんでしょうけど。

ちゃんとチケット買った?

黄金町バザールでは、多くの作品が、町の小さなアパートなどの建物を借りたりして展示されていました。こういった建物の入口にはスタッフの方などはおらず、チケットがなくても見れてしまう状況ではありました。

だから正直、「本当に客なの?チケット買わないで近所から来てこうしてるんじゃないの?」と思いました。

 

「こちとらアートとして見とるんだが、ただのポルノとして見ないでくれるか」という気持ちの是非

「本当に客なの?」という疑問を持ってしまうのは、「アートフェスティバルにお金を払った人の作品の見方ではない」と思うから。

でもこれは正直難しい。作品の解釈や楽しみ方って人によるわけだし。私は違うと思うけど、その人にとってはこれがそうだったのかもしれない。だけど私は不快だったしおかしいとは思う。

「私は作品の意図を知りたいと思いつつ見るけど、あの人は作品の表層しか見てない」と感じられて、見に来た私の思いを踏みにじられてる感じもして。一方で、「ただのポルノとして見ないでくれるか」というこの気持ちは、アート>ポルノという序列をもとに言っていることになるわけで。その認識の是非を、突きつけられているのかも。

 

この作品が「人間に対してのポルノ」というなら目的を達成している。エビに対してはどうだろう。笑

「エビをその気にさせるポルノとは」というアイデアから出発している作品群。だから、これを見たエビがその気になったなら成功かもしれないけど、結果“その気になった”のは人間だったというのを、私は目の当たりにしました。笑

性は、子孫を残すためには必要なこと。だからある意味、ポルノは「持続可能な人間社会」に寄与しているのかも…?

 

黄金町の歴史の再現というアートにも思えた

この作品群のアーティストのエレナ・ノックスさんは、黄金町の歴史も考慮してこの作品を思いついたようです。

www.youtube.com

「黄金町は性労働者の女性たちが 暮らし働き生き延びてきたという特異な歴史があります。またとても狭い範囲です。これをやることでエビの問題も解決し NASAの問題も解決し 日本の人口減少という深刻な議論も展開することもできる。様々な議論が小さなエビという問題から展開されました」
(上記動画の字幕より)

飲食業を装いつつ実質は風俗店、という店が戦後から軒を連ねた黄金町。治安の悪化もあり、それらが警察により一掃されたのは2005年。それから14年経つわけですが、私が遭遇したおじさんの姿はある意味「過去あった性産業の再現」にも思えまして。

そんな過去があって、こんな作品が作られて、あんなおじさんまでいて。「連綿と続く土地の歴史・文化」を感じてしまいました。変わりつつあるけど、変わらない・変えられないのかもしれない。良い悪いでなく。そんな町が黄金町なのかもしれない。

 

あのおじさんを「変態」と断罪するのは簡単です。実際、過去何回かあったセクハラまがいのことと通じる感覚が残っていて、もやもやもする。

そして「こんなの展示するからあんな人がおったんや」と、運営者やアーティストのせいにするというのも、簡単かもしれないけど間違ってると思う。それこそ表現の自由を脅かす行為になってしまう。

表現の自由を守るのは、マナーと寛容さだなとも思った一件でした。おしまい。

 

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