ふーみんLABO(仮)

26歳女が「納得できる自己紹介」を目指して執筆中。エコ・節約・映画など、私の頭の中を可視化するため、とりあえず色々書いてみようという実験です。

黄金町バザール2020(第1部)行ってきた。

横浜の黄金町〜日の出町界隈で毎年開催される芸術祭、「黄金町バザール」。今年も9/11から始まりました。今年はコロナ禍の影響で、期間が2部に分かれており、10/11まで第1部が開催中です。

www.koganecho.net

私は去年初めて見に行ったのですが、今年は「ヨコハマトリエンナーレ2020」などと合わせて楽しめる「横浜アート巡りチケット」なるものを買って、早速行ってみました。

1年ぶりの黄金町バザールで感じたことや、印象的だった作品を紹介します。

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年ごとに若干変わる会場。路地の奥とかドキドキ。

町の様々な建物を使って開かれる、黄金町バザール。去年も、古いアパートなどを使った展示に驚きました。来場者は、町中に少しずつ散らばった会場を目指し、町歩きをしながらいろんな展示を巡ることになります。

そして、年ごとに使われる会場は少しずつ違うようで、去年は行かなかった場所を歩くことになったり、「え、ここ?」とたじろいでしまうような路地を進んだり。ドキマギしちゃう探検のような気分も、「こんな機会じゃなかったら絶対歩かないな」「こんな道あったんだ」と新鮮な気持ちも、去年と変わらず味わえました。

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街の現代アートは、何でもない街並みもアートに見えてくる

去年も思った(と思う)し、「あいちトリエンナーレ2019」で街中の展示を回った時も思ったことを、久々に思い出しました。それは、「街中の展示を巡っていると、途中で見る何でもない街並みもアートに見えてくる」ということ。

いつもだったら見過ごすような景色が面白く見えたり、「こんな意味があるのかも」と考えてしまったり。そんな自分を面白がれる時間が久々にやってきて、不思議な感覚になりました。

 

印象的だった作品

さてこれからは、私が印象的だと思った作品をいくつか紹介します。

 

Johnagami Lab×伊佐優花「運龍」:”会いにくる”作品

リヤカーに龍のようなものが乗った作品。

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解説によると「コロナ禍の状況でも密を避け気軽にアートに触れられるように、「作品を鑑賞しに行くのではなく、作品が会いにくる」というコンセプトのもと移動可能な方法での展示を企画。」とのこと。これを読んで、単純に「わ、面白い!」とわくわくしました。こういう発想の転換、大好きです。

そもそも、展示室などに行かないと見られない芸術作品は、興味がない人には届かないもの。しかしこの作品は、ぶっちゃけチケットを買っていなくても通りがかりに見られる場所に展示されています(黄金町バザールは、壁画などでそういう作品も結構ありますが、この作品は特に)。夜にはライトアップもされて、ただの通行人でも「何だろう?」と思う人も多いことでしょう。

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こういう展示場所・方法を取っていることも、「作品が会いにくる」というコンセプトを実現していそう。

興味がない人にもちょっと頭の片隅に置いてもらう、というようなことは、中東のことで活動をしていた時から考えてきたし、そういう文脈で広報やメディアに関心を持つようになったので、このコンセプトにはとても共感したし、「なるほどね!」と思いました。

 

阿川大樹:建物の歴史を感じる、覗き見した奥にある言葉

以前は、違法ながら長らく黙認されていた、飲食店を装った風俗店(通称:ちょんの間)だった建物の一つにて。

とっても狭い建物の、上に続く階段をのぼると、部屋が続くはずの場所が壁で遮られ、そこにちょうどスマホくらいのサイズの穴がありました。

これを覗き込んだ瞬間、文字通りちょっと息を飲んでしまうほど、ドキッとしました。

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窓に寄りかかって外を眺める女性が目に浮かぶようで。しかも、覗き見している感じなので、そういうドキマギ感もあります。

これは間違いなく、ちょんの間で働いた女性の言葉でしょう(何かからの引用なのかどうかはわかりませんが)。建物の歴史を再確認させられる、言葉だけなのにちょっと生々しい展示でした。

ちなみに、この展示の隣の建物のさらに上階の窓には、外から見ると女性の横顔が。

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おそらく違う作家によるものですが、これも同じく、ちょんの間だった頃を思わせるものでした。

 

SUZUKIMI「ひとつぶのすなのせんぶんのいち…ときのしずく」:もののけ姫…!?

写真だとなおのこと見づらいですが、透明な鹿さんが沢山ぶら下がっています。

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解説には「神の遣いとしての鹿」とあり、私も見た時は「もののけ姫だ…!!」と思いました。

透明で見えない(見えにくい)ということや、たくさんいるということも、「普段は見えないけど、すぐ近くにいる、八百万の神」を思わせて、何だかスピリチュアルな雰囲気。

 

三輪恭子「おやすみスコープ」:“映えない”けど温かい時間の共有

いろんな人から募集した、「眠る間際に見るひかり」を展示しています。

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寝る直前って、あらゆる“スイッチ”を切った状態で、とてもプライベートで安心しているはずの時間。ある人は一人だし、ある人は家族も横にいる。そんな時間・空間を展示で見ると、その人の生活に思いを馳せたりして、何だかほっこりとした気分になりました。

SNSで「映える」写真を撮って投稿することや、それに対する疲れも身近な話題となった昨今。でもこの作品で共有されているのは、「映える」訳でもなく、「映える」写真のために取り繕ったものでもありません。だからこそ、押し付けがましくもなく、想像の余地があって、温かい気持ちになれたのかな。

 

チケットは、1度買えば期間中は有効。また近くに行ったら寄ってみたいです。