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26歳女が「納得できる自己紹介」を目指して執筆中。エコ・節約・映画など、私の頭の中を可視化するため、とりあえず色々書いてみようという実験です。

目・耳・心も喜ぶ、ザ・エンタメ!ベトナム映画「サイゴン・クチュール」感想。

横浜のミニシアターで上映が始まったベトナムの映画サイゴン・クチュール」を見てきました。映画館のサイトで見つけて「面白そう!」とピンと来て、しばらく楽しみに待っていたのですが、期待通りかそれ以上の楽しい映画でした。

映画の内容や感想を紹介します。

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あらすじ・登場人物

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1969年、ベトナムサイゴンに9代続くアオザイの仕立て屋があった。その家の娘ニュイは、ミス・サイゴンにも選ばれるほどの美人だが、傲慢な性格。アオザイが嫌いで洋服が大好きなニュイは、洋服のデザインばかり描いている。仕立て屋を取り仕切る母は、ニュイにまずアオザイの技術を習得するよう厳しくあたり、対立する。

喧嘩の後、ニュイに向けて母が仕立てたアオザイを見つけたニュイ。着てみると、胸元にはめられた翡翠の力で、2017年にタイムスリップしてしまう。そこで遭遇したのは、荒んだ生家と、未来の自分だった。

 

登場人物

  • ニュイ:9代続くアオザイの仕立て屋の娘。
  • ニュイの母:仕立て屋を取り仕切る。ニュイにもアオザイの技術を伝えたいと思っている。
  • アン・カイン:2017年のニュイ。(ある理由で改名)
  • タン・ロアン:昔ニュイの母の元で働いていた。2017年ではアオザイのお店を経営している。
  • ヘレン:タン・ロアンの娘。一流のファッションデザイナー。
  • トアン:タン・ロアンの息子。アン・カインの世話をしている。

 

さて、ここからはネタバレも含んで感想を紹介します。ネタバレなしの感想として、これから書く内容を箇条書きしておくと

  • 目が喜ぶ
  • ポップな音楽が良い
  • 安心して笑えるコミカルさ
  • 親子の話、人情など、普遍的な感動ストーリー

という感じ。クオリティも高くて驚いたし、本当に後味が良く、最後まで楽しめる映画でした。おすすめです!

というわけで、詳しく感想を書いてみます。

 

感想

目が喜ぶ。

印象に残ったのは、「美しさ」。その一つが、映画で出てくるアオザイや、その元となる生地の美しさ。色鮮やかで柄も綺麗で。アオザイは上半身はぴたっとしていて下半身はゆったりした感じで、セクシーさと凛とした上品さのバランスが絶妙です。

そして美男美女の俳優陣も印象的でした。トアン役の青年がイケメンだなぁと思っていたら、前までアイドルだったようです。

また、1969年はもちろん、タイムスリップしてきてしまった2017年でもおしゃれになっていくニュイの姿は、かわいいし、元気ももらえました。自分もおしゃれして街を闊歩したくなる感じ。

全体的に映像のクオリティも上質で綺麗で、正直「ベトナムでこんなの作れるのか…!」と思わされました。(これは下で紹介する音楽のPVを見ても思いました。)全く侮れないし、これからのベトナムのエンタメシーンが楽しみです。

 

ポップな音楽が良い!

音楽も、全面的に映画のため作られたようで、どれも印象的でした。とてもポップ。

歌で始まるオープニングはミュージカル映画みたいでわくわくしたし、エンディングは、歌に合わせてニュイ親子が踊り出すのがコミカルで笑えました。笑うこともないお母さんだったのに…(笑) 雰囲気は、逃げ恥のエンディングに似てるかも。

YouTubeでPVを見つけたので聞いています。歌のPVのはずなのに、映画のシーンや宣伝ががっつり入ってくるのが面白いです。

※ちなみに、ニュイの母役を演じた方(ゴ・タイン・バン)は、映画制作会社やタレント事務所の運営もしているそう。だからか、音楽も映画もしっかり組み合わされ演出されているようで、好印象です。

▼劇中でかかった曲。思いっきり今時なEDMです。PVの冒頭は映画の世界観そのもの。
Cô Ba Sài Gòn OST - Đông Nhi | Nhạc Phim Chính Thức

▼エンディングの曲。

 

安心して笑えるコミカルさ

ニュイ役で主演したニン・ズーン・ラン・ゴックは、映画のHPによると「ベトナム映画歴代興行成績のベストテンに主演作が並ぶNo.1コメディエンヌ」だそう。ニュイの「ぶりっ子で傲慢なお嬢様」っぷりを見事に演じていたと思います。コミカルな演技が絶妙でした。

また、ヘレンの登場シーンは完全に「プラダを着た悪魔」そのもの。彼女が来る!となると社内がすったもんだになったり、到着早々秘書に細々と言いつける様子は、その様子自体も、“プラダ”の“パクリ”であることも面白いのはもちろん、「ここまでやってくれると清々しい!」と思えました。おそらくそれを狙ってたんでしょうね。笑

 

親子の話、人情など、普遍的な感動ストーリー

コミカルで面白い場面も多い一方で、感動的な場面も終盤にいくつかありました。

中でも私がグッと来たのは、全てを諦めたおばさんだったアン・カインが、アオザイを作ってみようと決意し、仕立て方を教えて欲しいと勇気を振り絞ってタン・ロアンを訪ねる場面。そう来たか…!と思ったし、見ていて勇気付けられました。

そして実は、そんな日が来るのを信じて待っていたタン・ロアンと、亡き母。過去のことを責めず寛容にアン・カインを受け入れるタン・ロアンと、母が手紙を託していたことに、「変わろうとすると、見ていてくれる人・手を貸してくれる人がいるんだなあ」と胸がじんわりしました。

また、今は母に反抗しているニュイだけれど、子どもの頃仕事に打ち込む母に相手にしてもらえなかった寂しさを抱えている、という描写も、ニュイの性格やあり方に深みを与えていたし共感しました。

ベトナム語で、ファッションやアオザイを中心に進んでいくストーリーの要素には異国感もありながらも、話自体はとても普遍的で伝わりやすかったです。そのバランスの良さが、ちょうど良い見やすさ・理解のしやすさにもつながっていて、作品を十分楽しむことができました。

 

タイムスリップなどに関する細かい辻褄を合わせようとすると、ツッコミどころはあるし、「?」となるところもあるかと思います。でも思っていた以上に脚本も良かったし、すでにまた見たくなっているほど、後味の良い映画。お気に入りの映画の一つになりました。

笑いも感動もあって、楽しめるポイントがたくさんあるので、どんな人にもおすすめです。機会があればぜひ。

saigoncouture.com

 

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