石鹸シャンプー、始めました。
髪を洗うのにシャンプーとリンスを使うのをやめて、「石鹸シャンプー」を始めて数週間経った。歯磨き粉も、発泡剤などが入っていないシンプルなやつにして1ヶ月以上経った。こういう選択をするようになった経緯などを書いてみる。
コンパクトさに惹かれて。
もとはと言えば、「シャンプー・リンスって場所取るなあ。固形のとかないのかな」と思って調べてみたことが始まり。銭湯が好きになったり、旅をよくするようになって、お風呂に必要なものを持ち歩くことが増えたからだ。
そして「シャンプー 固形」と検索してみたら、普通の固形石鹸でシャンプーができる(=石鹸シャンプー)ということを知った。今まで髪を洗うのはシャンプーじゃなきゃいけないと当たり前のように思ってきた私は、常識が覆される感覚にわくわく、ぞくぞくした。石鹸だから、髪も体も洗える。買うもの、持ち運ぶものが減りそうなのも嬉しかった。
中東・地中海沿岸地域で盛んな石鹸製造。
しかも、石鹸シャンプーに使う石鹸として色んなサイトで勧められていたのが「アレッポの石鹸」。シリアの北西部にある都市アレッポで、伝統的に作られてきた石鹸。今は内戦の影響で、疎開先で石鹸を作っているらしい。(アレッポで作られている石鹸やそれを輸入する会社はそれぞれ複数あるが、「アレッポの石鹸」はそのうちのひとつ。)
オリーブオイルとローレルオイル(月桂樹の実から採れる)に苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を混ぜて作られる。2つのオイルの割合によって、エクストラ・ノーマル・ライトと製品が分かれている。表面は熟成中に乾いて茶色になるが、中は緑色。
シリアの支援という文脈でもよく見ていたこの石鹸を、いつか使いたいとは思っていたけれど、石鹸にそんな違いがあるのかと思ったりして、手に取る機会もなかった。だけど石鹸シャンプーにトライするにあたって、家でふつうに使っている安いものを最初から使うのは躊躇われたのもあって、東急ハンズの石鹸コーナーで購入した。
船旅で地中海沿岸をまわって感じていたことだが、地中海沿岸地域は伝統的に石鹸が作られている場所が多い。ギリシャでもオリーブオイルから作られた石鹸を土産物屋でたくさん見た。フランス・マルセイユではルイ14世が製造方法を定めたとかいう石鹸が今でも作られているし、現代風なカラフルな石鹸もたくさん売られていた。
(マルセイユの石鹸やさん。)
この地域の文化や社会に前々から関心がある私としては、「石鹸にはまるのも当然の流れだったかもしれない」と思ってみたりしている。
健康への投資。
ピースボートで、オーガニックなシャンプーや化粧品を使っている友達や、そういうもののプロデュースをしている水先案内人の話を聞いて、「オーガニック」というものについて自分の中で腑に落ちたというのも大きい。それまでは、「オーガニックっていう言葉は聞いたことある、そういうのあるよね」という程度の認識だった。
だが、石油などを使って化学的に作られた製品が体や地球に負荷を与えることなどを知り、友達の「オーガニックなものを買うのは、健康への投資と思ってる」という言葉で、オーガニック=なんか知らないけどちょっと高くて良い感じのもの、という感じだった認識に深みが増した。少し値段が高いのも理由があるんだなと思えたし、選べば別に高くないものも多い。
前から漠然と考えていた、「大地の上にあるもので暮らしたい」という考えと、「オーガニック」というものが自分の中で結びついた。
(▼この記事でも書いたことと共通する。)mizukifukui.hatenablog.com
以上のようなわけで、石鹸にはまり、本当にピンからキリまである(1個100円以下から2000円以上まで)石鹸の中で、1個200gで600円くらいのアレッポの石鹸を買い、シャンプーなどで使っている。
石鹸シャンプーのやり方
【用意するもの】
- シャンプー役:固形石鹸(大きいものは手のひらに収まるサイズに切ると扱いやすい。電子レンジで20秒くらい温めて包丁で切ればOK)
- リンス役:クエン酸(洗剤売り場で売ってる。水に溶かして使う。レモンの汁や酢でもいいらしい。)
- クエン酸水を入れるボトル(私は前からシャンプー入れるのに使っていたプッシュ式のボトルを使用)
用意するものに関して、石鹸シャンプーの原理に触れておこう。人間の肌などは弱酸性だが、石鹸で洗われた髪はアルカリ性に傾き、表面のキューティクルも開いて全然指が通らないくらいギシギシになる。だから、酸性のクエン酸などを溶かした水に浸けることで中和すれば、キューティクルも閉じる。
使っているクエン酸はこれ▼
【クエン酸リンスの原液の作り方】
▼参考にしたのはこちら
その他いろんなサイトを見つつ、私の持っているボトルは200cc強入るサイズだったので、水200cc、クエン酸大さじ1杯をボトルに入れた。
【私のやり方】
- 髪と石鹸を十分に濡らす。
- 石鹸を、髪の根元らへんにくるくるとこすりつける。ちゃんと泡立たせる。
- 泡がもこもこしたら、普通に洗う。
- 流す。→だいぶきしむ
- 洗面器に8分目くらいのお湯を汲み、クエン酸リンス(原液)を2,3プッシュ入れる
- 洗面器に頭を浸ける。
- 仕上げに洗面器のクエン酸リンスを頭にばしゃーっとかける→きしみがましになる
- お風呂上がりにドライヤーで乾かす→きしみがなくなって、さらさらにまとまる
石鹸シャンプー、今のところメリットだらけ。
今のところ、石鹸シャンプーはかなりしっくりきている。私がいいなと思っていることは以下の通り。
リンス流したあと、体や床がぬめぬめしない
リンスのぬめりが地味に嫌だったことに、石鹸シャンプーに切り替えてから初めて気づいた。そして多分、お風呂の汚れとしても排水溝などのぬめりは減るんじゃないだろうか。
石鹸かすはもちろん増えてしまうが、これがそのまま流れていっても、魚などのえさになりうる成分なのだ。だから環境への負荷も減るし、生態系の中で循環していく。
何より、コンパクト=色んな用途で使える
今まで、旅行や銭湯に出かけるときに持って行っていたシャンプー・リンス・石鹸・洗顔料が、これからは石鹸とクエン酸水だけでいい。顔を洗うときは、目に入ると痛いのでそれは気をつけなきゃいけない。化粧も十分落ちる。少しだけ身軽に、自由になれた気分。
しかも、汚れた服を部分洗いするのにも使える。シャツの首回りについた皮脂の汚れをアレッポの石鹸をつけて洗ってみたらきれいに落ちた。
減るのが遅い=たくさん使える、コスパ良い
コンパクトさともつながるが、洗髪で泡がもっちりもこもこになるまで石鹸を使っても、量としてはそんなに使っていない。だから「使いすぎたら減っちゃう」という気兼ねなく使える。
溶けやすい石鹸の場合、お風呂の浴室の中に置きっぱなしにすると溶けてしまうらしいので、私は洗顔用の泡立てネットが袋状になっていたのでそれに入れて干している。
今シャンプーにかかっているお金を考えてみると、石鹸600円強+クエン酸300円前後=1000円くらい。今のところ、石鹸は4分の1くらいに切ったものがひとまわり分(5mmずつくらい)減っていて、クエン酸も大さじ1杯しか使っていない。こう考えると、全部使い切るには時間がかかりそうだから、なかなかコスパが良さそうだ。
「アレッポの石鹸」のいいところ
石鹸シャンプーは始めたばかりなので、「アレッポの石鹸」以外の石鹸も使って、アレッポ石鹸だからこその良さも実感してみようと思い、家で置いてあるごくふつうの白い石鹸と、船旅中ギリシャで買って、船内でも使っていたオリーブオイルなどでできているであろう石鹸(土産物屋で2ユーロで購入)でも髪を洗ってみた。
感じた違いは、乾かした後のまとまり。つるつる、さらさらでもあり、もっちりしているような感じもある。石鹸自体も、包丁でカットした表面はつるつる・しっとりで触っていても気持ちいいし、洗った髪や体もそれと近い感覚になる。もとからほぼ痛みがない髪ではあるが、つやつやになって「天使の輪」もできる。ずっと触っていたくなる触り心地。
指通りも、ほかの石鹸やシャンプーとは違いを感じた。乾かしてすぐブラシでとかすとき、ほかのものだと結構ひっかかるのだが、アレッポの石鹸ではほぼひっかからなかった。
いろんな考えの変化の流れで始めた、石鹸シャンプー。何で出来ているかもわかっていて、質も良くて。「古くからあるものが逆に新しい」ということを、最近いろんなところで目にしてきたけれど、今回初めて”体感”できた。これからも、いろいろ試しながら続けていきたい。
※追記(2019.8.7)
のちの石鹸シャンプーの経緯を以下の記事で書いています。こちらも参考にどうぞ。
mizukifukui.hatenablog.commizukifukui.hatenablog.com