映画「ロケットマン」を、「ボヘミアン・ラプソディ」ファンが見た結果。
ここ数年盛り上がっている、“音楽もの“の映画。去年は「グレイテスト・ショーマン」と「ボヘミアン・ラプソディ」に見事にハマり、どちらも映画館に3回ずつ見に行ってしまいました。
そんな私が先日、1970年代のイギリスを代表するミュージシャンの1人、エルトン・ジョンの半生を描いた映画「ロケットマン」を見てきました。共通点も多い「ボヘミアン・ラプソディ」と比較しながら、感想などを書いてみたいと思います。
- 私が見てきた“音楽もの”作品とその評価。
- ロケットマン あらすじ
- 何かと「ボヘミアン・ラプソディ」と共通点がある
- ボヘミアン・ラプソディとの違い&ついていけなかった点
- 良い意味で、考えさせられたこと
- まとめ:主人公に共感しつつも、ファンタジーについていけず。
私が見てきた“音楽もの”作品とその評価。
本題に入る前に、私が最近の“音楽もの”の何をどうみているのか、ざっとまとめてみます。
ララランド ★★★☆☆
- 音楽はキャッチーで良いけど、歌唱力ある人がいなくて残念すぎる。
- 音楽は、クラシックやジャズがベースなので迫力には欠ける
- 夢を追って交差する2人っていう感じが好みに合わず
グレイテスト・ショーマン ★★★★★★
- 歌も歌唱力も文句なしに素晴らしい。
- 歌のシーンは、映像描写の美しさも際立つ(特にRewrite The Starsの場面はいつも見とれてしまう、、)
- ストーリー展開がちょっと荒いけどそこらへんは許せちゃう
- 世間から身を潜めて暮らしていた人たちが表舞台に立つ姿に感動&共感
詳しくはこの記事に書いています▶︎論理より感情。多様性を大事にしたい。映画「The Greatest Showman」に時代が求めるものを見た。
アリー スター誕生 ★★☆☆☆
- そもそも映画製作の背景が飲み込めず。Lady Gagaの実話に近いストーリーなんだと思ってた。実際は1930年代の映画のリメイク作らしい。
- 共感しどころが少なかった
- ララランドとストーリー展開は似てる。好みではない。笑
- 主題歌の和訳が微妙
ボヘミアン・ラプソディ ★★★★★★
- 音楽のシーンも自然に入っていてよかった
- 映画内でも、映画をみた後にも、「この曲もQueenなの?!」という発見がたくさんあって引き込まれた。
- フレディ・マーキュリーの、複雑な出自やマイノリティな性のあり方から、孤独感を抱えたり本当の愛・仲間を求める姿に共感
ロケットマン あらすじ
グラミー賞を5度受賞したイギリス出身の世界的ミュージシャン、エルトン・ジョンの自伝的映画。並外れた音楽の才能でまたたく間にスターへの階段を駆け上がっていった一方で、様々な困難や苦悩にも満ちたエルトン・ジョンの知られざる半生を、「ユア・ソング(僕の歌は君の歌)」や「ロケット・マン」など数々のヒット曲にのせたミュージカルシーンを交えて描いていく。
何かと「ボヘミアン・ラプソディ」と共通点がある
こちらの記事↓でも紹介されていますが、「ロケットマン」は何かと「ボヘミアン・ラプソディ」(英語で略してBoRapと言われてるのでボラプと略します)と共通点があります。それはエルトンと、フレディおよびクイーンの共通点でもあります。
- 監督:デクスター・フレッチャー氏は、ボラプの実質的な監督であり、ロケットマンも監督した。
- 登場人物:実在のマネージャー、ジョン・リード氏がどちらでも登場
- 時代や国の背景:1970年代イギリスのロックシーン
- 衣装やパフォーマンスの奇抜さ
- 性的少数者であること:エルトンもフレディも同性愛者として描かれる。実際フレディはバイだったようだが。
ボヘミアン・ラプソディとの違い&ついていけなかった点
私の場合、「ボヘミアン・ラプソディ」は完全にハマったのですが、「ロケットマン」はついていけない・入り込めないシーンが多々ありました。
ミュージカルシーン
唐突に、劇場で行われるミュージカルのようにいろんな人が歌って踊り出すシーンがいくつかあり、「あ、そういう感じ?」と面食らいました。楽しげなシーンでもぽかんとしてしまいました。
非現実的・ファンタジーな描写
ボラプは結構リアリティを重視した映像づくりがされていましたが、ロケットマンは、非現実的で空想的な描写が多かったです。
「いろんな場面で子どもの頃の自分が現れる」という描写は、なんとなく気持ちがわかって、のちの感動にもつながりました。しかし多くのシーンでは、「ん?」となってついていけず。
ある記事では、以上2点についてこう紹介しています。↓
『ボヘミアン』との最も大きな違いは、『ロケットマン』はファンタジーの要素がふんだんに盛り込まれたミュージカルでもあることだけど、一歩間違えれば「お笑い」になってしまいそうなシチュエーションも、タロンの演技力とカリスマ性で見事なエンタテーメントになっていて、本物エルトンを超えた艶っぽさがなんとも言えない。
曲ができるまでの背景をどれだけ描くか
私は音楽全般、曲の背景や込められた思いを知るのが好きです。ボラプでは曲にまつわるエピソードがたくさんあって見応えもあったし、場面で出てくる歌も背景や思いに想像がいって感動したり。
しかし「ロケットマン」ではそういう描写は少なかったと思います。おそらく誰もが聞いたことのある名曲「Your Song」ができたシーンは、曲に込められた愛情が伝わってきてグッときましたが、他は曲自体を知らないのもあってか伝わってきませんでした。
歌は全て役者本人が歌っている
ロケットマンでは、主人公エルトンを演じるタロン・エガートンが歌の部分も歌っています。一方ボラプでは、フレディ本人の声、演者ラミ・マレックの声、そしてフレディと声が激似な歌手マーク・マーテルの声を合わせているそう。
この点は評価や好みが分かれる気がします。演者が全て歌っているのも心底すごいけど、私としては本人の声も入っているボラプの方が好きでした。声と体の感じが合ってないのも感じたけれど、フレディ本人の声の魅力も伝わってきたので。「ロケットマン」では、エルトンの歌や声の魅力を最大限伝えられているのか・受け取れているのかわからないなぁ、というもやもやが残りました。
もっと言えば、私が歌の面でも一番満足できたのは「グレイテスト・ショーマン」でした。
良い意味で、考えさせられたこと
子供の頃の寂しかった自分と、寂しさが癒されないまま育った今の自分
エルトンは幼少期から、厳しくて不器用な父に甘えようとしても許されず、母にも邪険に扱われて育ちました。本当は愛したいけどどうして良いかわからない親や、本当の愛を求める主人公のあり方は、自分にもかぶるところがあって共感しました。
乖離していく、人前の自分と本当の自分
「過去の自分を捨てて、なりたい自分になるんだ」と言われ、決意し、努力や偶然も味方してスターダムを駆け上がる主人公エルトン。やりたいことができるようになったのは良いけれど、派手な衣装やパフォーマンスでも人目を引いていたからか、「人に求められる、ステージ上の自分」を追求するあまり、「本来の自分」を置いてけぼりにしてしまいます。
これって、程度は違えど、きっとたくさんの人が普段の生活でも経験すること。落ち込むようなことがあっても無理して明るく振舞ったり、場をやり過ごすための嘘を言ったり。「本当は違うんだけどな」という思いがあると、罪悪感やもやもやが重くのしかかってきてしまう。そんな経験を私もしばらく積み重ねているから、エルトンの思いにとても共感しました。
まとめ:主人公に共感しつつも、ファンタジーについていけず。
ストーリーには共感するところがたくさんあり、グッときて泣ける場面もある一方で、ファンタジーな描き方についていけないところも多かったです。
私の好みには合わず、不完全燃焼だったので、またボラプが見たくなってしまいました。笑 ごりごりのミュージカル的作風や、非現実的描写も受け入れられるなら、この作品は好きになれると思います。
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